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2018年12月17日(月)

いま言いたい2018

韓国問題研究所代表 康宗憲さん

歴史の真実 見る勇気を

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(写真)カン・ジョンホン 1951年生まれ。在日韓国人2世。75年、留学先のソウルで国家保安法違反容疑で拘束、死刑判決を受ける体験をもつ(2015年再審で無罪確定)。同志社大学嘱託講師。著書に『死刑台から教壇へ』。

 徴用工として第2次大戦中に強制労働をさせられた韓国人への賠償を新日鉄住金と三菱重工に命じる韓国最高裁の判決が相次いで出ました。安倍政権は強制労働ではないとして企業に一切支払うなと言っています。

強制労働は事実

 今回の判決を、日韓の国交正常化に当たり結ばれた1965年の請求権協定に反すると非難する日本政府の主張は一方的です。原告2人は10代のとき、「2年間の訓練で技術習得後に技術者として就職できる」との募集広告を見て応募した。ところが外出は月1、2回の許可制で賃金は貯金され通帳も印鑑も寄宿舎の舎監が保管。逃げられないよう監視され、暴力も受けた。結局賃金は未払いのまま。これを強制労働と言わず何と言いますか。

 21世紀に入り、人間の尊厳を中心にする考えが広まっています。国連人権理事会をはじめ国際機関では、徴用工問題でも日本軍「慰安婦」問題でも日本政府の対応は不十分だという評価が定着しています。被告の日本企業は被害者と向き合い、和解の道を探るべきです。

筋を通す共産党

 この問題で日本共産党の志位和夫委員長は、侵略戦争・植民地支配と結びついた人権問題として日本政府と該当企業に痛切な反省と公正な解決を求めました。穀田恵二衆院議員は国会質問で、河野太郎外相に「個人の請求権が消滅したとは申し上げない」と明言させました。韓国メディアは筋を通す共産党に注目しています。

 安倍政権に限らず日本の歴代政権は、植民地支配が合法という立場を維持してきました。日本が朝鮮半島を植民地にした1910年の韓国併合条約は両国の合意の下で交わした文面になっています。でも実態は強制です。抵抗する勢力を日本が軍事力で制圧しました。戦時中に日本の軍事企業体が多くの朝鮮人を強制動員できたのも、朝鮮が植民地だったからです。日本の市民社会に歴史の真実を見る勇気をもってほしい。

 今年は南北と米朝の首脳会談が行われました。朝鮮半島和解のプロセスに日本の政府と市民が全面的に関わってほしい。その中で歴史問題も解決されていくでしょう。

 聞き手・写真 隅田哲


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