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2018年12月7日(金)

主張

改憲案提示できず

さらに追い詰め断念させよう

 安倍晋三首相が執念を燃やす憲法「改正」の自民党案を今国会に提示しようというたくらみが、国会の憲法審査会が開かれず、不可能になりました。内閣改造・党役員人事で異例の「改憲シフト(布陣)」を敷き、国会にまで号令をかけて、改憲論議を進めようとした首相の策動が、野党の反発と国民の反対の火に油を注いだからです。もともと国民が望んでもいないのに、憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲を強行するのは、憲法の大原則である立憲主義を破壊する極みです。安倍首相と自民党をさらに追い詰め、改憲そのものを断念させましょう。

強硬姿勢が裏目になる

 安倍首相は今国会冒頭の所信表明演説で、憲法審査会で「政党が具体的な改正案を示す」「国会議員の責任を、共に、果たしていこう」と発言しました。憲法の「尊重擁護義務」がある首相の立場を投げ捨て、行政府の長が立法府に命令するという、「三権分立」の原則まで踏みにじる、常軌を逸した姿勢です。

 直前の内閣改造・党役員人事で、自民党の改憲推進本部長に首相側近の下村博文元文部科学相、自民党案を党議決定する総務会長に首相に近い加藤勝信前厚生労働相を起用するなど、異常な「改憲シフト」を敷いたうえでのことです。

 しかしこうした強硬姿勢はたちまち裏目に出ます。首相の「国会議員の責任」という発言を受けて、下村本部長が、野党を「職場放棄」と攻撃したことに批判が集まり、衆院憲法審査会の幹事就任どころか委員も辞退しなければならない事態に追い込まれたのです。

 下村氏や、これも首相側近で「改憲シフト」の一人の萩生田光一自民党幹事長代行らは「『安倍色』の払拭(ふっしょく)」や「総理が黙る」ことで改憲論議を推進しようとしました。もともと安倍氏が言い出した改憲をそんな小細工で推進しようとしても通用しません。自民党が改憲案の提示を狙った衆院憲法審査会は、先週こそ森英介会長の職権で開催が強行され、与党などの出席で新藤義孝元総務相らを新たな幹事に選んだものの、逆に野党の反発を強めました。今国会の会期中、最後の定例日になる6日は開会さえできず、自民党案の提示はできなくなったのです。

 今国会に自民党案を示し、次の国会で改憲を発議、国民投票に持ち込み、2020年には改憲を施行することを狙っていた首相のもくろみは、大きく狂うことになります。

 改憲スケジュールを狂わせたのは、「安倍改憲」の強行に反対する野党と国民の力です。その力をさらに強め、首相があくまで固執する改憲を断念に追い込むことが重要です。

「改憲」安倍政権を退陣に

 もともと、憲法破壊の政治を続け、「憲法尊重擁護義務」も「三権分立」も守らない首相に、憲法を語る資格はありません。

 最近の世論調査でも、今国会での自民党の改憲案提示に「反対」が47%(「読売」11月26日付)で、改憲そのものにも「急いで進める必要はない」が50%(NHK11月12日放送)です。

 憲法に自衛隊を書き込み「戦争への道」を広げる「安倍改憲」の危険は明白です。改憲阻止、安倍政権退陣の声をいよいよ大きくしていきましょう。


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