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2018年12月6日(木)

入管法改定案 参考人陳述(要旨) 参院法務委

人間の尊厳 生活保障こそ

移住者と連帯する全国ネットワーク理事 高谷 幸さん

写真

(写真)意見陳述する高谷幸参考人=5日、参院法務委

 特定技能1号には家族帯同が認められません。また、1号で働く期間は、永住許可要件の就労資格にも該当しないとの答弁もされています。ここには定住・永住を可能な限り阻止するという日本政府の考えが端的にあらわれています。それは技能実習制度を維持してきた姿勢と同じです。

 先日、実習生は恋愛も妊娠も禁止され、妊娠が分かった時点で中絶か帰国を迫られるという報道がありました。なぜ、このようなことが起こるのか。それは、技能実習制度は、技能実習生を可能な限り労働力としてしか存在しないようにするものだからです。人間である技能実習生を労働力としてしか存在しないようにするには、家族との生活、恋愛、妊娠という労働を離れた生活の部分を制限するしかありません。つまり、この制度を維持するには労働力が人間として暮らす局面を最大限制限する他ないのです。定住・永住の阻止もこの延長上にあります。定住・永住を認めない、人間として生きることを制約しようとすることこそさまざまな人権侵害を引き起こしています。

 同時に、この発想は教育や出産、子育てをコストとしてみる発想に根ざしています。私は、この発想は外国人の問題に限らず、出産や子育て、教育に十分な公的支援がされていないという日本社会全体の問題と地続きだと感じています。その意味では外国人技能実習制度、そして、今回の特定技能1号の創設は、人が生まれ、育つことを大事にしない、この国の姿勢が象徴的にあらわれています。そうした社会で誰が安心して幸せに暮らすことができるでしょうか。

 労働力としてのみ存在が許されるという制度は認められません。技能実習制度は廃止すべきで、特定技能1号の家族帯同要件は見直すべきです。

 私たちは何を恐れているのでしょうか。外国人労働者、移民、外国にルーツを持つ人々はすでにここにおり、ともに社会を支えています。彼・彼女らが人間として暮らせるための権利と尊厳を保障しなければいけません。


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