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2018年12月3日(月)

主張

新たな「防衛大綱」

攻撃型空母の導入許されない

 安倍晋三政権は今月中に策定する新たな「防衛計画の大綱」で、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修し、垂直着艦のできるF35B戦闘機を運用することを可能にしようとしています。精密誘導爆弾などを搭載した対地攻撃機であるF35Bの自衛隊への導入を想定した「いずも」の改修は、戦後初めて日本が「攻撃型空母」を保有することにつながります。政府はこれまで、他国に攻撃的な脅威を与える兵器の保有は憲法の趣旨に反するとの見解を示してきました。「いずも」改修とF35B導入が憲法に違反するのは明白です。

国際海域から地上空爆

 「いずも」型護衛艦は全長248メートル、全幅38メートルの海自最大の艦船です。ヘリコプター数機を同時に運用するため、空母のように艦首から艦尾までつながった飛行甲板(全通甲板)を持っています。

 F35B戦闘機は短距離離陸・垂直着陸が可能な米国製の最新鋭機で、米海兵隊が実戦配備し、レーダーに探知されにくいステルス性能もあります。

 今、日本の軍事力の在り方や水準を示す新たな「防衛計画の大綱」(新大綱)とそれに基づく今後5年間の軍拡計画・「中期防衛力整備計画」(中期防)づくりの議論は大詰めを迎えています。

 岩屋毅防衛相は、「いずも」の改修について「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていけることが望ましい」とし、新大綱・中期防に盛り込むことを検討していることを明らかにしています(11月27日)。F35Bの自衛隊への導入も「検討、研究をしている」と述べています(同)。

 自民党は、新大綱・中期防策定に向けた提言(5月)で、「いずも」改修を念頭に置いた「多用途運用母艦」やF35B導入の必要性について、南西諸島や小笠原諸島の「防空任務」を挙げています。

 しかし、日本共産党の井上哲士議員は11月29日の参院外交防衛委員会で、「いずも」を改修してF35Bを運用するようになれば、「防空のため」では説明が付かない攻撃能力を持つことを実例を示して明らかにしました。

 井上氏が指摘したのは、米海兵隊のF35Bが初めて就いた戦闘任務の実態です。

 米中央軍の発表などによると、今年9月27日、アラビア海に展開していた米海軍の強襲揚陸艦エセックスからF35Bが発進し、アフガニスタンの反政府勢力タリバンに対する掃討作戦を支援するため、同機種として初めて空爆を実施しました。この時、米中央海軍の司令官はF35Bの役割について「戦域での強襲・航空戦闘能力を著しく強化」し、「国際水域から地上作戦を支援する」と強調しました。

 F35Bは「国際水域から他国の地上を空爆する強襲能力に優れた兵器」(井上氏)に他なりません。「いずも」の全長は、全通甲板を持つ米強襲揚陸艦(253メートル)に匹敵します。改修を施し、F35Bの搭載を可能にした「いずも」を「多用途運用母艦」などとごまかすことは許されません。

米軍も「いずも」を使用

 岩屋防衛相は、改修した「いずも」を米海兵隊のF35Bが使用することもあり得ると認めています。米軍と一体となって海外での武力行使を可能にしようとする安倍政権の暴走にストップをかけることが必要です。


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