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2018年11月24日(土)

主張

国保危機打開提案

「けんぽ」並みに保険料下げを

 高すぎる国民健康保険料(税)が全国各地で住民の生活を苦しめています。負担能力を超える保険料を払いきれず、保険証を取り上げられる人たちが後を絶ちません。無保険で受診が遅れ命を落とすケースも少なくありません。誰もが安心して医療を受けることができる「国民皆保険」の根幹を揺るがす事態です。日本共産党は、国保の危機を打開し、公的医療保険として立て直すための提案を発表しました。思い切って公費を投入し国保料を抜本的に引き下げることなどが柱です。提案実現へ、ご一緒に力を合わせましょう。

知事会も「公費1兆円を」

 共産党提案(1日発表)の大きな特徴は、異常に高い国保料を、中小企業の労働者が加入する「協会けんぽ」の保険料並みに引き下げることを打ち出したことです。

 国保加入者1人当たりの平均保険料は、協会けんぽの1・3倍、大企業労働者が入る組合健保の1・7倍にもなっています。東京23区に住む給与年収400万円の4人世帯で比べると、協会けんぽの保険料本人負担は年19万8千円、国保の保険料負担は年42万6千円と差は2倍以上です。この格差をなくし、全国的に大幅に引き下げようというのが提案の眼目です。先の23区の世帯の場合では約20万円下げることができます。

 協会けんぽ並みの保険料に引き下げるために「公費1兆円の負担増」を求めているのは全国知事会です。2014年には政府・与党に要望しました。立場の違いを超えた切実な声です。日本共産党は知事会の要請に大賛成です。

 国民の4人に1人が加入し公的医療保険として重要な役割を担う国保が、他の医療保険と比べて不公平な状態に置かれ、住民に重い負担を強いていることは、制度のあり方として大問題です。その解決を図ることは政治の責任です。

 1960年代の国保制度発足時、政府は“国保は被保険者に低所得者が多く、保険料に事業主負担がないため、どうしても相当額の国庫負担が必要”と認めていました。ところが歴代政権の社会保障削減の下、国庫負担削減が繰り返されました。一方、国保加入者は以前のような農林漁業者や自営業者が激減し、無職や非正規雇用が8割近くに達するなど低所得傾向が進みました。国の責任後退とともに、加入者の貧困化の進行によって引き起こされた国保の構造的危機を打開するには、国庫負担を増やす以外に道はありません。

 提案では、大もうけをする大企業や富裕層に応分の負担を求めれば財源が十分確保できることを具体的に示しています。政治がその気にさえなれば、実現可能です。

「均等割」などは廃止に

 国保料を「けんぽ」並みに下げる上で不可欠なのは、「均等割」など国保にしかない仕組みの廃止です。「均等割」は世帯人数が増えるごとに負担が増えるため、子どもの多い世帯などを直撃し、「子育て支援に逆行」と批判されています。“人頭税”のようなやり方は時代錯誤です。公費を1兆円投入すれば「均等割」などをやめることができます。所得に応じた保険料負担を実現する改革が急がれます。

 国保料の引き下げは、社会の公平・公正を確保する上でも、緊急の課題です。国保問題の解決へ、幅広い人たちと知恵と力を出し合っていくことが求められます。


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