2018年11月23日(金)
主張
辺野古新基地建設
「出来レース」とはこのことだ
沖縄県が名護市辺野古での米軍新基地建設に必要な埋め立て承認を撤回したことについて、防衛省と国土交通省が行政不服審査法(行審法)を使ってその効力を停止し、工事の再開を強行しています。この無法な工事を防衛・国交両省が人事面でも一体となって推進する体制を取っていたことが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の国会質問で明らかになりました。安倍晋三政権の行審法の乱用はいよいよ明白です。承認撤回の執行停止は直ちに取り消すべきです。
国交省から防衛局に出向
行審法は、行政機関の処分によって侵害された国民(私人)の権利や利益を迅速・簡易かつ公正な手続きによって救済することを目的にした法律です。国の機関には同法が原則として適用されないことも明記されています。
ところが、沖縄防衛局は行審法を違法に用い、県の埋め立て承認撤回を取り消す審査請求とその裁決が出るまで撤回の効力を失わせる執行停止の申し立てを石井啓一国交相に行いました。石井国交相は、極めて短期間のうちに執行停止を決定しました。
辺野古の新基地建設を「唯一の解決策」とする安倍政権の下で沖縄防衛局の申し立てを国交相が審査して、公平性・中立性が担保されるはずがありません。その上、防衛省と国交省は新基地建設のために人事面でも協力体制を取っていたのであり、文字通りの「出来レース」に他なりません。
赤嶺議員は16日の衆院安全保障委員会で、その事実を具体的に告発しました。
▽防衛省は辺野古の新基地建設を推進するため組織令を改定して審議官と参事官、沖縄防衛局次長を一人ずつ新設・増員し、それぞれ国交省の出向者を充てている。
▽防衛省が設置した「普天間飛行場代替施設建設事業推進チーム」(FRFチーム)の副チーム長は新設の審議官、同チームで工事計画の事務を総括する事業班の班長は新設の参事官が務めている。
▽FRFチームへの国交省からの出向者はこれら幹部を含めのべ18人、10月末時点で10人に上る。
しかも、沖縄防衛局が国交相に行った審査請求と執行停止申し立ての決裁文書には、国交省から出向した同局次長の印鑑が押されています。国交省の出向者も直接関わって出された執行停止の申し立てに、国交省が応じるという「自作自演」に県民や国民が納得するわけがありません。
安倍政権は沖縄の民意も法治主義の原則も平然と無視し、どんなに批判を浴びても新基地建設を強行する姿勢を示しています。狙いは、辺野古新基地に反対する県民の諦めを誘うことです。しかし、こうした強権政治は、先の沖縄県知事選での玉城デニー氏圧勝で破綻しています。
見通しない埋め立て工事
今後の埋め立て工事にも見通しはありません。安倍政権が狙う早期の土砂投入は搬出拠点の本部(もとぶ)港(沖縄県本部町)が台風で損壊し、年内は困難と報じられています。さらに、埋め立て海域には超軟弱な地盤が存在し、大規模な地盤改良が必要ですが、デニー知事は承認しない方針です。
新基地建設を許さず、普天間基地の無条件撤去を求める世論と運動を広げ、安倍政権を追い詰めていくことが必要です。