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2018年11月19日(月)

セクハラ禁止 法明記を

労政審 審議ヤマ場

市民・法曹界・労組が行動

 財務省の福田淳一次官(当時)のセクハラ事件を契機に、セクハラ防止策で男女雇用機会均等法の見直しを議論している厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会の審議がヤマ場を迎えています。労働側は「セクハラ禁止」の明記を求めていますが使用者側は拒否しています。このもとセクハラ禁止規定を求め、ジャーナリストや法曹界、労働団体が相次いで集会を開き意見書を出すなど世論と運動が広がっています。(内藤真己子)


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(写真)メディアで働く女性ネットワークが主催したセクハラ法整備を考える11・8院内集会=衆院第1議員会館

 政府は財務次官の事件後の6月、緊急対策を発表。事業主に義務付けられているセクハラ防止など措置義務の「実効性確保」策の検討を指示しました。ところがこれを受けた同分科会で使用者側は「禁止規定にはどんな意義があるのか分からない」などと、かたくなな態度に終始しています。

 これに各界から厳しい批判の声と提案が相次いでいます。

 被害者の現状を踏まえて訴えたのはメディアで働く女性ネットワーク主催の集会(8日)などで報告した労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員です。

 行政救済制度を利用しても被害者は賠償金や謝罪が得られず退職に追い込まれる例があると調査で明らかにし、「現行の行政救済では違法なセクハラだと認定できない。根本にセクハラを定義し、禁止する規定がない法の不備がある」と指摘。禁止を明記し、救済への法的判断ができる独立救済システム(ハラスメント委員会など)の構築を求めました。

 日本労働弁護団の新村響子弁護士は13日、連合主催の集会で、労働者がいじめ・嫌がらせのない環境で働く権利を規定した法律が必要だと主張。「セクハラ禁止規定を入れることで裁判による救済ライン(慰謝料)も上がる」とのべました。

 日本弁護士連合会は15日シンポジウムを開催。青山学院大学法学部の申惠丰教授(国際人権法学会理事長)は欧米や韓国の例を引き「多くの国ではセクハラを『性差別』の一類型とし、差別禁止法(性差別禁止法または包括的な差別禁止法)で禁止している」と紹介しました。日本はセクハラ禁止規定がなく、国連女性差別撤廃委員会から再三、セクハラを禁止し制裁を科す法規定などを勧告されていると語りました。

 申氏は「日本が批准している国連女性差別撤廃条約を踏まえ、セクハラを明確に禁止するとともに、独立した国内人権機関をおくべきだ」と主張しました。

 労働団体は全労連が同分科会に9日、(1)男女雇用機会均等法のハラスメント防止措置を「禁止規定」とし制裁措置を盛り込む(2)ハラスメント禁止の包括的な法律の制定―を求める意見書を提出。連合は13日、200人規模の集会を開きハラスメント禁止の明記と、「仕事の世界における暴力とハラスメント」対策の法制化を求めました。


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