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2018年11月17日(土)

「聴取票」集計データ 虚偽

実習生の実態わい曲 政府答弁崩れる

 法務省は16日、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案の審議の前提として野党が求めてきた失踪技能実習生の「聴取票」データの集計資料のみ衆院法務委員会の理事懇談会に提示しました。同省は、答弁してきた失踪動機の数字が誤っていたと報告。首相・法相答弁が虚偽のデータに基づいていたことになり、「現状の賃金等への不満からより高い賃金を求めて失踪する者が約87%」(山下貴司法相)との政府答弁が完全に崩れ去る重大な事態です。

 同省が訂正したのは「失踪動機」など3項目。「失踪の動機」では「より高い賃金を求めて」が2514人(86・9%)から1929人(67・2%)に、「指導が厳しい」が155人(5・4%)から362人(12・6%)に倍増、「暴力を受けた」が88人(3・0%)から142人(4・9%)に訂正されました。

 「より高い賃金を求めて」は聴取票にない選択肢で、「低賃金」「低賃金(契約賃金以下)」「低賃金(最低賃金以下)」と答えた人数の合計です。野党はこれ自体「ねつ造に近い」と批判していました。

 与党は同日の法務委での同法案審議入りを狙いましたが、野党は院内集会で結束を確認し強く抗議。立憲民主党は葉梨康弘委員長(自民党)解任決議案を衆院に提出し、同日の審議入りは見送られました。

 4野党・会派の理事会メンバーは同日、共同で会見し、「議論の土台が根底から崩れた」と批判。日本共産党の藤野保史議員は「事前に説明されていた資料とまったく違う。改めて聴取票の重要性が明らかになった。聴取票は制度を改善するために衆参法務委員会の付帯決議で求めたものだ。そのための実態を示す資料がゆがめられ、『より高い賃金を求めて』と逆の姿に描かれていた」と批判。プライバシーへの配慮は当然だが、集計資料ではなく聴取票の公開こそ必要だと主張しました。


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