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2018年11月16日(金)

主張

下村氏の幹事辞退

今こそ改憲断念に追い込もう

 今国会に自民党の改憲案を提示しようと策動している安倍晋三政権が、開催を狙っていた15日の衆院憲法審査会が見送りになりました。審査会の自民党側の幹事に予定されていた下村博文・同党改憲推進本部長の、野党は「職場放棄」だとの暴言が批判を受けたためです。下村氏は幹事就任を辞退しました。しかしそれで済ませるわけにはいきません。もともと「安倍改憲」の強行に道理はありません。今こそ改憲策動を断念させることが必要です。

言語道断な下村氏発言

 下村氏が9日の民放番組で、改憲論議に応じない野党の国会議員に対して、「高い歳費をもらっているにもかかわらず、国会議員として職場放棄してもいいのか」などと発言したのは、改憲に熱中する安倍政権の焦りを示す、言語道断な発言です。

 下村氏は自民党の改憲案の今国会提出を目指す安倍首相(党総裁)によって、改憲推進本部長に起用されました。安倍政権は改憲議論を加速させるために、国会の憲法審査会の早期再開を目指し、衆院では15日開催の日程が取りざたされてきました。憲法審査会を再開し、改憲のための国民投票法案の審議で野党を誘い込んで、12月10日の会期末までに改憲案を提示するのが自民党のシナリオです。その先には、国会での改憲案発議、国民投票を狙っています。

 安倍首相は国会の憲法審査会での論議を要求するなど、三権分立の原則を踏みにじる異常な発言を繰り返していますが、もともと憲法は国会議員に対して改憲論議を求めていません。はっきり定めているのは、憲法尊重擁護義務(99条)です。改憲論議に応じないからと言って「職場放棄」などと言われる筋合いは全くありません。憲法を守らず改憲に熱中する安倍氏や下村氏こそ、首相や国会議員としての職責に反しています。

 安倍首相が昨年5月、「読売」のインタビューや改憲派集会へのメッセージで言い出した憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲は、異常な改憲派である安倍氏の持論ではあっても主権者である国民が望んでいるものではありません。

 直近のNHKの世論調査でも国会で改憲議論を早く進めるべきかとの質問に、「早く進めるべき」はわずか17%で、50%は「急いで進める必要はない」と答えています。審査会を早期に再開し、改憲論議を促進しようというのは、主権者の意思を無視した、明白な憲法私物化、立憲主義の破壊です。

 下村氏は15日になって「野党の皆さんに不快な思いをさせてしまったことをおわびしたい」と発言しています。それで審査会を動かそうというのは虫がよすぎます。反省というなら、憲法私物化、改憲策動をやめるべきです。

審査会動かさず発議阻止

 安倍政権が狙う憲法9条に自衛隊を書き込む改憲は、憲法の平和原則を破壊し、自衛隊の無制限の武力行使に道を開く大変危険なものです。それ以前の問題として今問われているのは、一連の改憲策動自体が憲法尊重擁護義務や憲法の立憲主義を破壊していることです。憲法を守らない政権に憲法を語る資格はありません。

 下村氏は審査会の委員としてとどまり引き続き論議に拍車をかけようとしています。断念に追い込む国民のたたかいが重要です。


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