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2018年11月13日(火)

きょうの潮流

 7畳間ほどの地下室。外の音は全く聞こえずしんとしています。天井には水の出ない見せかけのシャワーヘッド。壁にはガス管を固定していたネジ穴だけが。ここは、ドイツ・ハダマーの障害者殺害施設です▼ナチス・ドイツは国内6施設で、ユダヤ人大虐殺に先駆けて数十万人もの障害者や患者を虐殺しました。「T4作戦」です。その根底にあるのは優生政策でした▼「その場に佇(たたず)むと、聞こえてきたように感じたんですよね。“だまされた”“わたしで最後にして”とのうめき声が」。日本障害者協議会代表で全盲の藤井克徳さんが大学生らとの討論で、語りました。『わたしで最後にして』は、近著のタイトルに▼つらい過去を今の人たちに向き合ってほしいと。その根底にある優生思想や障害者差別は、現代につながっています。旧優生保護法下での強制不妊手術問題や相模原市の「やまゆり園」で起きた障害者殺傷事件…。これらの問題に無関心、無意識でいる市民層の中で、優生思想はもっともはびこると警鐘を鳴らします▼克服するための手がかりになるのが、国連・障害者権利条約です。社会へのイエローカードとしての役割があると藤井さん。同条約がもっとも大事にする考え方の一つは「多様性の尊重」とも▼「この先は若い人たちの出番です。どんな未来を描きますか」。この問いかけに大学生らは応じました。「過去にしっかり学んで今の社会をみつめながら、誰もがそのままで受け入れられるようなコミュニティーをつくりたい」


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