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2018年11月10日(土)

都水道局幹部天下り

水事業大手 浄水場で入札談合

 東京都水道局発注の浄水場排水処理業務をめぐり、公正取引委員会が独占禁止法違反の容疑で立ち入り検査を行った水事業大手の水ing(スイング、東京都)に、水道局幹部OB2人が天下りしていたことが9日、本紙の取材で明らかになりました。水道局の職員が入札情報を漏らした疑いも生じており、都と企業の癒着関係が問われます。

 公取委が10月30日に立ち入り検査をしたのは、同社の他、月島テクノメンテサービス、石垣メンテナンス(以上東京都)、日本メンテナスエンジニヤリング(大阪市)の計4社。都水道局浄水場の排水処理施設の運転管理業務受注をめぐり、4社が毎年、事前に協議して受注予定者を決めるなど、談合を繰り返した疑いです。

 本紙の取材で、水ingに元水道局設備担当部長が2011年9月に「技術建設部担当部長」の肩書で天下りした他、元多摩水道改革推進本部長(局長級)が15年前後に「特別顧問」の役職に就いていたことがわかりました。

 関係者によると「立ち入り検査を受けた会社には、都OB3人が直近まで在籍していた」といいます。

 水道局は13~17年度の5年間に、水ingに対し工事や施設管理など計106件を発注。発注額は計104億円余に上ります。

 水道局と水ingの両者は本紙の取材に、「公取委の調査に全面的に協力しているので(都OB問題は)お話しできない」としています。

解説

癒着構造の抜本是正を

 都水道局が関与した汚職や談合事件と都幹部OBの天下りは、これまでもたびたび問題になっていました。

 1997年に水道メーター入札談合事件をめぐり、東京地検特捜部から独禁法違反容疑で刑事告発された金門製作所と愛知時計電機の大手2社に、水道局幹部OB3人が天下りしていたことが本紙の取材で判明。

 公取委が99年に独禁法違反容疑で刑事告発した、ダクタイル(延性があり高強度の)鋳鉄水道管のヤミカルテル事件でも、同局など都OB13人がクボタ、栗本鉄工所、日本鋳鉄管、日本ダクタイル鉄管協会に天下りしていたことが本紙報道で判明しています。

 過去10年間に都水道局職員が関与した汚職事件は4件発生。▽係長が局発注工事で業者に便宜を図り107万円の謝礼を受け、逮捕(2012年)、懲戒免職▽職員2人が工事入札で最低制限価格情報を元職員に漏えい(11年~13年)、罰金の略式命令▽職員が工事入札で最低制限価格情報を業者に漏えい(11年)、罰金の略式命令―を受けています。

 都総務局は幹部OBの民間企業への天下りについては一定程度の制限を設け、一部を公表しています。しかし都関連団体などに天下りした後に、企業や団体を渡り歩くOBは公表していません。

 都発注の豊洲新市場、20年東京五輪競技施設など大型工事を受注した大手ゼネコンには都OBが大量に天下りしており、癒着構造の抜本是正が迫られます。(岡部裕三)


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