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2018年11月7日(水)

主張

自民党改憲策動

姑息な「安倍隠し」通用しない

 今国会での自民党の改憲案の提示を目指す、同党改憲推進本部長の下村博文氏が、「『安倍色』を払拭(ふっしょく)し、自民党全体でしっかりと対応していくことが必要だ」などと言い出しています(3日、北海道函館市で記者団に)。同党の萩生田光一幹事長代行も「総理が黙ることで、憲法審査会が動くのであれば、そういうことも考えたい」(先月28日のNHK日曜討論で)と言っています。安倍晋三首相が改憲の旗を振ってきたことは周知の事実で、今頃になって「安倍隠し」を図っても通用しません。

首相発言で改憲に拍車

 下村氏の発言は、自民党が改憲の合意づくりのために始めた「全国行脚」の第1回として、北海道北斗市を訪れた際、函館空港で語ったものです。自民党は全国の小選挙区党支部に「改憲推進本部」の設置を求めており、下村氏の全国行脚はその一環です。

 首相側近の下村氏は、安倍氏が自民党総裁に3選された後の、党役員人事で改憲推進本部長に起用されました。同じく首相側近の萩生田氏や、党内を取りまとめる総務会長に起用された首相に近い加藤勝信前厚生労働相らとともに、安倍改憲を支える「改憲シフト(布陣)」の一人とみられています。

 下村氏や萩生田氏がにわかに「安倍隠し」を始めたのは、現職首相が改憲の旗振りをすることは、明々白々、憲法の「尊重擁護義務」(99条)に違反しており、国会や自衛隊にまで改憲を号令した首相の一連の発言が、三権分立の原則にも自衛隊の政治的中立にも反していると、厳しい批判を浴びているからです。

 しかし姑息(こそく)な「安倍隠し」を図っても、それは通りません。安保法制=戦争法の強行など、異常な憲法破壊を重ねてきた安倍首相が、自衛隊を憲法9条に明記する等の明文改憲をいきなり持ち出してきたのは、昨年の憲法記念日の「読売」インタビューや改憲派集会へのメッセージです。その後も安倍首相は改憲に固執し、9月の自民党総裁選以降は、今国会に同党の改憲案を提示すると主張し、異常な「改憲シフト」を敷いたのです。

 今国会の所信表明演説でも改憲発言を繰り返し、代表質問への答弁でも、首相の改憲発言は憲法の尊重擁護義務に反すると追及されると、「発言は禁止されていない」と開き直り、野党の追及に「お尋ねだから答える」とごまかして、とうとうと改憲発言を繰り返すありさまです。

 現職の首相が改憲をあおりたてるのは、どんなに改憲が持論の首相であっても、歴代政権では見られなかった異常事態です。自民党は安倍首相の改憲発言をやめさせ、改憲策動を中止すべきで、「安倍色」を払拭するから、国会の憲法審査会などでの議論を進めてほしいなどとは虫のいい主張です。

憲法の立憲主義に反する

 最新の共同通信の世論調査でも、改憲の自民党案を今国会に提示するとの首相の意向に「賛成」は35・3%で「反対」が54・0%を占めます(「東京」5日付など)。国民が支持しない改憲の強行はそれ自体、憲法の立憲主義に反します。

 憲法を守らず、改憲の旗を振る安倍首相に政権を担う資格はありません。安倍改憲を阻止する国民のたたかいが重要です。安倍政権を退陣させることこそ、憲法を守り生かす、最も確かな道です。


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