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2018年11月5日(月)

在日米軍基地資産価値11兆円

国民の税金投入で膨張

海外基地数縮減の中 日本不変

シリーズ検証 日米地位協定

 米軍の海外基地のうち、在日米軍基地の資産価値総額が約981億8800万ドル(約11.1兆円、1ドル=113円で計算)に達し、2番目に多いドイツの総額448億5400万ドルの約2.2倍に達していることが、米国防総省がこのほど公表した2018年度版「基地構造報告」で明らかになりました。


表
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写真

(写真)米軍横田基地(東京都福生市など)

17年9月末 ドイツの倍

 18年度版は17年9月末の数値をまとめています。資産評価額は基地内の施設件数や床面積などで算定しており、地価は含まれていません。日本は毎年、世界に例のない米軍「思いやり予算」などで施設を新設・改修しているため、必然的に評価額が上がります。「抑止力」という建前で膨大な税金を投入して建設した米軍基地のインフラが米政府の「資産」にされているという屈辱的な事態です。

 基地別にみると、嘉手納(沖縄県)、横須賀(神奈川県)、三沢(青森県)、岩国(山口県)、横田(東京都)、キャンプ瑞慶覧(沖縄県)、横瀬貯油所(長崎県)が上位10位内に入っています。評価額が大きく上がっている横瀬は13年以来、米海軍LCAC(エアクッション型揚陸艇)の基地として強化が進んでいます。

 米海外基地の総数は514で、戦後最少規模で推移しています。過去10年で見れば、08年の761基地から247減っています。(表)

 これに対して日本では、過去10年間で大きな変化はありません。日本政府が基地維持費の多くを負担していることに加え、基地が集中する沖縄県では名護市辺野古の米軍新基地建設を強行し、京都府京丹後市で新たな米軍基地を建設するなど、海外基地縮小の流れに逆行しています。

第2条

世界に例ない全土基地方式

自衛隊基地使う根拠にも

 日本には78の米軍専用基地、日米共同使用の自衛隊基地を含めれば128の基地が存在します。加えて、訓練区域として23の空域と46の水域が提供されています(2017年3月現在)。日本は米国の同盟国では最大規模の基地群が存在する文字通りの「米軍基地国家」になっています。

 こうした基地を置く根拠になっているのが日米安保条約第6条と地位協定です。「米国は日米安保条約第6条に基づき、日本国内の施設・区域の使用を許される」。こう定めた第2条は、日米地位協定の最も本質的な条文です。

地理的制約なし

 NATO(北大西洋条約機構)軍地位協定など米国が同盟国とかわしている地位協定の多くは、施設・区域の提供について規定がありません。これに対して日米地位協定は、冒頭から基地の提供(2条)・管理(3条)・返還(4条)などの基地関連の条文が並んでいます。

 しかも、条文には「日本国内の施設・区域」としか書いておらず、地理的な制約を設けていません。この点について、外務省が1973年4月に作成した機密文書「日米地位協定の考え方」は、「米側は、わが国の施政下にある領域内であればどこにでも施設・区域の提供を求める権利が認められている」と記しています。

 つまり、米側には、日本国内のどこでも望む場所に基地を置く権利があるのです。

 こうした「全土基地方式」は、米国の同盟国でも類例のない異常なものです。例えばドイツでは、米側が必要な基地や使用目的について定期的にドイツ政府に申告する形になっており(ボン補足協定48条)、イタリアや英国では具体的な施設・区域名を示して個別に協定を結ぶ形になっています。

民間地まで利用

 地位協定2条は、施設・区域の日米共同使用についても、(1)米軍が管理権を有し、自衛隊など日本側が一時的に使用する(=二4a基地)(2)米軍が「期間を限って」使用する(=二4b基地)―と定義しています。なお、米軍が排他的に使用する基地は条文に照らして「二1a基地」と呼ばれています。

 防衛省の資料によれば、(1)に該当する基地が29存在します。空自航空総隊司令部が移転した横田基地(東京都)など、日米の軍事一体化を加速させる要因になっています。

 一方、(2)は63基地が該当し、いずれも自衛隊基地の看板がかかっています。日本本土では73年の大規模な整理・統合などで米軍専用基地が大きく減る一方、80年代から自衛隊基地の共同使用が急増。さらに在沖縄海兵隊の県道104号越え実弾射撃訓練や米軍機の訓練移転に伴い、多くの自衛隊基地内に米軍専用施設が建設されるようになりました。

 築城(福岡県)、新田原(宮崎県)両基地では、米軍普天間基地(沖縄県)の「緊急時」の「能力代替」のためとして、米軍用の弾薬庫や滑走路延長まで狙われています。

 米軍は「二4b」に基づいて民間の土地も使用できます。今年10月、種子島空港跡地(鹿児島県)で初めて、民間地を使用しての日米共同訓練が強行されました。日米地位協定を根拠として、文字通り日本全土が基地になりうるのです。

2条のポイント

 (1)米国は日米安保条約第6条に基づき、「日本国内の施設・区域」の使用を許される。個々の施設・区域に関する協定を交わす

 (2)新たな基地を提供、必要ない基地を返還する。

 (3)米側が管理している施設・区域を日本側が一時的に使用できる(二4a)/米側が自衛隊基地や民間施設などを一時的に使用できる(二4b)


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