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2018年10月28日(日)

主張

首相の改憲策動

提示許さず“水際”で阻止を

 安倍晋三首相が憲法9条に自衛隊を明記するなどの改憲に執念を燃やし、開会中の臨時国会に自民党の改憲案を提示しようとしている中、これを阻止することが、いよいよ急務となっています。憲法を守らない首相には、改憲どころか憲法を語る資格がありません。国民の圧倒的多数が望んでいないのに、改憲を進めるのはそれ自体、立憲主義を踏みにじるものです。改憲案の内容とともに、そのやり方を糾弾し、常軌を逸した安倍首相の改憲策動を許さないことが重要です。

憲法を語る資格ない

 安倍首相は臨時国会の所信表明演説で「(国会の)憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示す」「(改憲へ)国会議員の責任を果たしていこう」などと持論の改憲に執着しました。行政府の長が立法府に改憲論議を行うことを迫る主張は、首相の憲法尊重擁護義務も、立法・行政・司法の独立を定めた三権分立の原則も踏みにじる暴言に他なりません。

 自民党内でも異常な改憲派である安倍氏は首相就任以来、憲法破壊の言動を重ね、言論・思想の自由を侵害する秘密保護法や「共謀罪」法、憲法の平和原則を蹂躙(じゅうりん)する安保法制=戦争法など違憲立法の強行を繰り返してきました。昨年5月の憲法記念日には、憲法9条に自衛隊を明記することや、国民の権利を制約する「緊急事態」条項を創設するなど、あからさまな明文改憲を打ち出しました。

 憲法9条に自衛隊を明記すれば、9条2項の戦力不保持や交戦権否認の規定が空文化・死文化し、海外での自衛隊の無制限の武力行使に道を開くことになります。今のところ自民党内でも改憲案は正式決定されていませんが、首相の改憲への固執は、文字通り「戦争する国」への危険な暴走です。

 首相は臨時国会で、憲法審査会に改憲案を提案し、発議へ向けた動きを加速させようと画策しています。首相側近を憲法審査会の幹事にすえるなど体制を固めています。改憲を阻止するため、臨時国会で憲法審査会を動かさないたたかいを強めることが必要です。

 閣僚の憲法尊重擁護の義務を定めた憲法99条をまったくかえりみようともせず、三権分立の原則も無視するなど、憲法を守ろうとしない首相は、憲法を語る資格を完全に失っています。

 実力組織として、政治的中立が厳しく求められる自衛隊の幹部会同や観閲式の場で、最高指揮官の立場から改憲を叫ぶ安倍首相の姿は憲法破壊の最たるものです。首相のいう改憲案の内容も重大ですが、改憲を進める首相のやり方そのものが憲法違反です。憲法を平然と破壊する首相の姿勢を徹底的に追及し、改憲の企てを“水際”で阻むたたかいを大きく広げることが求められます。

国民は改憲を望まぬ

 憲法は、首相の勝手な持論で改定し、国民に押し付けるものではありません。主権者・国民が権力をしばるのが立憲主義の原則です。世論調査では、自民党が臨時国会に改憲案を提出することに「反対」48・7%、「賛成」36・4%(共同通信調査、4日付「東京」など)です。国民の多くは改憲を支持していません。国民が望んでいない改憲を進めること自体、立憲主義の破壊です。安倍首相による憲法の「私物化」は許されません。


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