しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年10月27日(土)

主張

米INF離脱表明

核廃絶の流れは止められない

 国連創設記念日の24日から国連軍縮週間が始まりました(~30日)。全国各地でヒバクシャ国際署名などさまざまな活動が行われています。その中で、トランプ米大統領が、中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱を表明したことに批判の声が上がっています。

核軍縮の対立構図

 1970年代後半から米国とソ連(現在のロシア)が、大陸間弾道弾よりも飛距離の短い(中距離)核ミサイルをヨーロッパに競って配備したことに対し、核戦争の危機感から、空前の反核運動がおこりました。世論におされ米ソが87年に締結したのが、地上発射の弾道ミサイルと巡航ミサイルを全廃するINF条約です。核戦力の一部とはいえ、特定の種類のミサイルを全廃するこの合意は、核軍拡競争が激化していた当時は、一定の意義をもつものでした。

 しかし、その後米ロとも条約対象外の艦船や航空機から発射する中距離ミサイルの開発・保有を続けました。中国や北朝鮮、インド、パキスタンなどの国々もこの種のミサイルを保有するに至っています。INF条約締結の当時と今日の状況は異なります。

 トランプ政権は今回の条約離脱の理由に、ロシアが巡航ミサイルの実験を行うなど、INF条約に「違反」していることを挙げています。今年2月に発表した「核態勢の見直し(NPR)」で、海上発射型の核巡航ミサイル開発の方針を示した際も、ロシアの「違反」を口実にしました。

 しかし、トランプ大統領がINF条約の離脱表明(20日)をした直後(22日)、米ロと英仏中の核保有五大国は国連総会で、「核兵器禁止条約への反対を改めて表明する」として「われわれはこの条約を支持も、署名も、批准もしない」とする共同声明を発表しました。

 核保有国は、核兵器禁止条約を力にした、圧倒的多数の非核保有国の批判に直面しています。核兵器禁止条約には69カ国が署名、19カ国が批准しており、近い将来の発効が見込まれます。五大国の共同声明は、核保有国が追い詰められ、抵抗する姿を浮き彫りにしています。核軍縮をめぐる今日の対決構図がまさにここにあります。トランプ政権のINF条約からの離脱表明も、核兵器廃絶へ向けた世界的な流れを逆戻りさせることはできません。

 日本政府は、昨年に続いて核兵器禁止条約に一言も触れない決議案を国連総会に提案しました。被爆国にあるまじきこの姿勢には、失望と批判が広がっています。こうした態度を改めない限り、日本政府の国際的な孤立と外交的な破綻は、深まらざるを得ません。速やかに禁止条約への署名と批准を行うべきです。安倍晋三政権があくまでそれを拒むというなら、署名・批准する政府へ転換することが必要です。

反核運動の飛躍こそ

 朝鮮半島の非核化と平和のプロセスの背景には、「核戦争はしてはならない」との諸国民の強い願いがありました。この世論を圧倒的に広げ、市民社会、反核運動と諸国政府の共同を発展させることが、「核兵器のない世界」への道です。8月の原水爆禁止世界大会は、被爆75年の2020年をめざす運動を提起しました。日本でも世界でも、ヒバクシャ国際署名をはじめ運動の飛躍が求められています。


pageup