しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年10月26日(金)

中央省庁雇用水増し 政策の抜本的見直しを

憤る障害者団体“官製の排除だ”

写真

(写真)障害者雇用水増し問題の野党合同ヒアリング=8月30日、国会内

 不正に3700人を「障害者」としていた中央省庁の障害者雇用水増し問題―。第三者検証委員会が報告書を発表し、安倍内閣は23日、障害者雇用に関する基本方針を決定しました。障害者団体は、障害者の労働と雇用政策の抜本的な見直しを求めています。

 (岩井亜紀)

 「一言でいえば、“官製の障害者排除”です」。水増し問題についてそう厳しく批判するのは、日本障害者協議会(JD)の藤井克徳代表です。「報告書は、行政機関が意図的に不適切な対応を取っていた例は把握していないとしているが、33機関のうち28と大規模で、少なくとも20年以上と長期にわたって行われていたのだから、意図的だったと指摘せざるを得ない」

再検証を求めて

 政府が検証委員会を設置したのは9月7日。今月22日に報告書を発表するまでわずか6週間ほどです。

 藤井さんは「過去の担当者からの聞き取りもしていないし、資料も読み込めているのか」と疑問を呈し、「報告書とそれを踏まえた基本方針が同時に公表されたことからも、表層的な検証」だと指摘。障害者も参加した中での再検証を求めています。

 障害者団体「きょうされん」の常任理事会は声明で、雇用水増しの背景に「障害のある人は手がかかる」などの「偏見や無理解」があると述べます。「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」は、「障害者は役に立たない、価値がない」といった優生思想にもつながっていると強調します。

問題解決しない

 「基本方針は個々の支援やサポートの必要性は指摘するが、雇用した障害者に合わせた仕事づくり、開発には全く触れていない」と話すのは、日本障害者センターの家平悟事務局長です。自身も重度身体障害があり、介助が必要です。

 「個々の障害者に合う仕事をつくれなかったから、これまでごまかしてきたのだろう。そこへの検証こそ必要なのに」と憤ります。

 介助が必要な障害者でも制度上、通勤時の移動支援は認められていません。家平さんは「福祉と雇用の政策を関連づけてつくっていかなければ、障害者の労働問題は解決しない」と強調。基本方針は「通勤負担等を軽減するため」として情報通信技術を活用した在宅などのテレワーク勤務を活用できるよう整備すると述べていますが、「限られた人しかテレワークはできない」と語気を強めます。

 JDは、障害者の労働と雇用政策の抜本的な見直しに当たっては、障害者権利条約を基調にとらえるべきだとする要望書を安倍晋三首相と根本匠厚労相に提出しています。


pageup