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2018年10月13日(土)

主張

米空母母港化45年

世界で唯一の異常をただそう

 米海軍の空母が1973年10月5日に横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港にしてから45年がたちました。2008年9月25日に通常型空母に代わり原子力空母が初めて母港にしてからも10年です。73年に空母の母港を海外に置いたのは米海軍史上初めてでした。それから半世紀近くたった今なお、横須賀は世界で唯一の米空母の海外母港にされたままです。米海兵隊の沖縄駐留などとともに、日本が類例のない米軍基地国家であることを象徴するものであり、その永続化は許されません。

国民を欺き続けた歴史

 空母ミッドウェーから始まり、通常型空母3隻、現在の空母ロナルド・レーガンまで原子力空母2隻と続く横須賀母港化の45年は、日本政府や米軍が国民を欺き続けた歴史でした。

 政府は当初、「空母ミッドウェーが横須賀周辺に家族を居住させておる期間はおおむね3年」(73年12月19日、参院決算委員会、大河原良雄・外務省アメリカ局長)としていました。空母の配備期間は「おおむね3年」であり、母港化ではなく寄港に際しての乗組員の「家族居住計画」という欺瞞(ぎまん)です。

 政府はまた、乗組員家族の居住にあたり「新たな施設・区域の提供を要するものではない」(72年11月15日付、横須賀市長あて外務省文書)「日本側に対して一切経費的な負担をかけることはない」(73年10月9日、衆院内閣委、大河原・アメリカ局長)と言明してきました。しかし、その後の「思いやり予算」による池子米軍住宅(同県逗子市など)の建設や横須賀基地の増強などに示されるように、そのごまかしは今や明白です。

 米軍も当時、「厚木基地では(空母艦載機の)離着陸訓練はしない」と繰り返し約束していました。しかし、82年から厚木基地(同県大和市、綾瀬市など)では夜間離着陸訓練(NLP)が強行されるなど、これもほごにされました。

 厚木基地の空母艦載機は米軍再編計画に基づき、今年3月に岩国基地(山口県岩国市)への移駐が完了しました。海に面する岩国基地は「騒音の軽減」を口実に滑走路が沖合に移設されて大きく拡張され、艦載機の移駐により東アジア最大級の航空基地に変ぼうしており、騒音激化が大問題になっていることも看過できません。

 横須賀の空母母港化にあたり政府は「原子力推進航空母艦の本邦寄港は現在は全く考えられていない」(前出の外務省文書)とし、当時の横須賀市長は「原子力航空母艦の寄港は将来にわたってもないよう特に配慮されたい」と要望していました(72年11月21日付、外務省あて文書)。しかし、84年に原子力空母の寄港が強行され、その後も繰り返されました。そして08年の原子力空母の母港化は、首都圏に原発が設置されているのに等しい事態を生み出しています。

「戦争する国」にしない

 横須賀を母港にした空母はこれまでアフガニスタン戦争やイラク戦争など地球規模の出撃を繰り返しており、「日本防衛」を任務にしていません。安倍晋三政権が強行した安保法制=戦争法の下、横須賀配備の米イージス艦などを含む空母打撃群を自衛隊が全面支援する態勢も強化されています。日本を「海外で戦争する国」にさせないためにも横須賀の空母母港化をやめさせるたたかいが必要です。


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