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2018年10月2日(火)

ノーベル賞 本庶佑さん医学・生理学賞

免疫研究 がん治療に貢献

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(写真)本庶佑氏

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学・生理学賞を、「免疫制御分子」の発見とがん治療への応用研究を行った本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大学特別教授と米テキサス州立大学のジェームズ・アリソン博士(70)に授与すると発表しました。

 本庶さんは、免疫細胞を制御する“ブレーキ”として働くタンパク質、PD―1を発見。そのブレーキを外せば、免疫細胞ががん細胞を効果的に攻撃し、がんの治療ができると提唱しました。米国のベンチャー企業や日本の製薬会社と共同で研究を進め、開発された薬品「オプジーボ」が2014年に実用化され、がんの治療に使われています。

 一方、ジェームズ・アリソン博士はCTLA―4という別の分子が、やはり免疫細胞のブレーキ役として働くことを発見。このタンパク質の機能を阻害する抗体により、マウスのがんが消えたことを報告しました。

 授賞式は12月10日、スウェーデンの首都ストックホルムで行われます。

 ノーベル医学・生理学賞 ノーベル賞自然科学3部門の一つで「医学および生理学の分野で最も重要な発見を行った」人物に与えられます。選考はスウェーデン・カロリンスカ研究所のノーベル賞委員会が行います。日本人の同賞受賞者は1987年の利根川進氏、2012年の山中伸弥氏、2015年の大村智氏、2016年の大隅良典氏に続き、今回の本庶佑氏で5人目です。


解説

がん免疫療法に光明

 今年のノーベル医学・生理学賞は、免疫細胞を制御する仕組みを発見し、がんの免疫療法への応用研究を行った本庶佑・京都大学特別教授らに授与されることが決まりました。

 免疫は、生体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除するしくみ。その役割を担う白血球などは異物の侵入を検知するとさまざまな化学物質を分泌するなどして異物を攻撃し、破壊します。ところが、がん細胞は異物であるにもかかわらず、免疫の攻撃を受けず生き延びます。

 本庶さんたちは、細胞があらかじめプログラムされた方法で死ぬ「アポトーシス」という現象にかかわる免疫細胞の研究を進めていました。その中で、免疫細胞がもつ「PD―1」というタンパク質を発見しました。働きを調べた結果、免疫細胞が異物を攻撃するのを抑える“ブレーキ”であることがわかりました。がん細胞は、PD―1を活性化し、免疫細胞の攻撃を逃れていたのです。

 免疫細胞をがん治療に応用する試みは以前からありました。免疫細胞の攻撃力を強めようとするもので、いわば免疫細胞の“アクセル”の研究でしたが、成果をあげることはできていませんでした。いくらアクセルを踏んでも、ブレーキが働いて帳消しにしてしまうからです。

 免疫細胞にブレーキがあるのは、暴走して正常な細胞を攻撃しないようにするためですが、本庶さんはこの仕組みを逆手にとって、がん細胞が免疫細胞のブレーキを活性化できないようにすれば、がんを治療できると考え、研究を進めました。

 米国のベンチャー企業や日本の製薬会社との共同研究で、がん細胞がもつ、免疫細胞のPD―1と結びついてブレーキを利かせるPD―L1などのタンパク質を発見。さらに、その結びつきを阻害する「オプジーボ」が開発され、2014年7月、製造販売承認を得ました。皮膚がんや肺がん、腎臓がんの治療に使われています。

 オプジーボをめぐっては薬価が非常に高いことが問題となり、日本共産党の小池晃参院議員が2016年10月の予算委員会で追及。翌年2月に半額に切り下げられた経緯があります。(間宮利夫)


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