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2018年10月1日(月)

主張

国連「核廃絶デー」

揺るがぬ禁止条約発効の流れ

 核兵器禁止条約の各国の署名が昨年9月20日に開始されてから1年―。国連が定めた「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」の26日、世界でも日本でも、さまざまな行動が繰り広げられました。

問われる核保有国の責任

 ニューヨークの国連本部では「国際デー」に際し、各国の閣僚らによるハイレベル会合が開かれました。演説したグテレス国連事務総長は、今年8月9日に長崎市の平和式典に初めて参加したことに触れながら、「核兵器の脅威を根絶する唯一の確かな道は、その兵器そのものを廃絶することだ。われわれはいま緊急に行動しなければならない」と訴えました。

 この日行われた禁止条約の署名・批准式典では、新たに4カ国が批准書を国連に提出、7カ国が署名しました。批准国は19、署名国は69となりました。エスピノサ国連総会議長は式典で、禁止条約は「核兵器なき世界に向けたさらなる一歩」だとのべ、加盟国に条約への参加を呼びかけました。条約の発効には50カ国の批准が必要ですが、発効に向けた流れは揺るぎないものとなっています。

 核兵器禁止条約を拒否し続ける核保有国には、「核兵器のない世界」をどう実現するのかが、厳しく問われています。核五大国も参加する核不拡散条約(NPT)の第6条は、核軍備撤廃を交渉する義務を明記しており、核保有国には大きな責任があります。2020年にはNPT再検討会議が開かれます。ところが核保有国は、これまで合意してきた「核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」(2000年)やそのための「枠組みをつくる特別の努力」(10年)を否定する動きにでています。

 逆流を許さず、核兵器禁止条約を一刻も早く発効させ、それを力に「核兵器のない世界」へと前進することが求められています。決め手となるのが世論と運動です。国連総会では10月初旬から、軍縮問題の審議が始まります。反核平和運動の国際共同行動とともに、諸国政府と市民社会の共同のさらなる発展が期待されています。

 禁止条約への参加国が拡大していくなかで、被爆国である日本が禁止条約への参加を拒み続けるなら、重大な国際的孤立を招くのは必至です。しかし、日本が条約に参加すれば、より高い道義性と強い説得力をもって、核保有国にも核兵器廃絶を訴えることができるはずです。それは、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築への重要な貢献ともなるでしょう。「抑止力」ではなく、平和解決の努力こそが、核兵器の脅威を取り除くことができるのです。

 禁止条約へ日本の参加を求める意見書を採択した自治体は全国の約2割に達し、「ヒバクシャ国際署名」も党派を超えて広がっています。安倍晋三政権はこの国民的要求に応え、速やかに禁止条約に署名、批准すべきです。

被爆者とともに運動広げ

 核兵器禁止条約成立の原動力となった被爆者たちは、平均年齢が81歳を超え、高齢化がすすんでいます。被爆者を支えるとともに、その願いを、わがこととして広げていく国民的な運動の発展が求められています。8月の原水爆禁止世界大会が呼びかけた2020年をめざす「壮大な運動」にふさわしい共同を、草の根から発展させていくときです。


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