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2018年9月16日(日)

きょうの潮流

 事故後、東京電力福島第1原発の敷地でバスの車窓から見た、石積みの仮設防潮堤を思い出しました。これで津波を防げるのかと首をかしげたものです▼東電が福島第1原発に新たな防潮堤を建設し、津波対策を強化すると発表しました。原子力規制委員会の会合で示しました。防潮堤は1~4号機の海側を完全に覆うように築く計画です。防潮堤の高さや構造、工事をいつするのかなどは今後の検討だといいます▼政府の地震調査研究推進本部が昨年末に公表した地震予測「長期評価」を受けてのことです。長期評価は、北海道沖の太平洋で、マグニチュード8・8以上の「超巨大地震」が30年以内に最大40%の確率で起きるとしました。発生から400年程度経過し「切迫している可能性が高い」と▼東電はこの地震で最大10・1メートルの津波が押し寄せ、原子炉建屋がたつ標高8・5メートルの敷地は最大で1・8メートル浸水すると評価しています。これまでは建屋への防水扉などの対策しか示されていませんでした▼福島第1原発では溶け落ちた核燃料の冷却が続けられており、燃料に触れた水は高濃度汚染水となり原子炉建屋地下などにたまり続けています。その量は4万数千トン▼津波が襲来すれば、建屋に津波が流れ込み汚染水が増え、引き波で汚染水が流出する恐れなどが懸念されています。東電の担当者は規制委の会合で「7年半かけて造った設備が(津波で)使えなくなる」と話していました。原発事故の収束の難しさをまざまざと見せつけられています。


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