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2018年9月11日(火)

リアルタイム線量計 8割撤去方針

県民多数から反対噴出

“安心の根拠なのに”

 東京電力の福島第1原発の事故から11日で7年半。事故後、福島県内各地に放射線監視装置(モニタリングポスト)が設置されました。そのうちリアルタイム線量測定システムの8割、約2400台を撤去するという原子力規制委員会の方針に、県民多数から反対の声が噴き出しています。(福島県・野崎勇雄)


写真

(写真)公園に設置されているリアルタイム線量測定システム=福島市

2974台のうち約2400台も

福島

 南会津の只見町(6月25日)から始まった撤去方針の住民説明会が2日、福島市で開催されました。原子力規制庁職員が、いま学校や幼稚園・保育園、公園などに設置しているリアルタイム線量測定システムを県全体では8割、福島市では2台を除き撤去することなどを説明。終わるとすぐ、市民から反対の声があがりました。

批判の声相次ぐ

 「孫2人をやっと外遊びに出せるようになった。放射線量が原発事故以前の0・04マイクロシーベルトに近づかない限りは撤去に反対だ」「身近に設置されていることが安心につながっている。原発廃炉完了まで置いてほしい」…。発言を求める手が次つぎあがり、討論は予定時間を20分もオーバー。撤去に賛成する人は一人もなく、圧倒的多数が反対しました。

 福島市の住民説明会に参加した佐藤晃子さんは、「私は放射線量が比較的高い渡利地区で暮らしていて、下の子は小学生です。飲食物がすべて検査されていることと合わせ、空間線量の変化が分かるリアルタイム線量計が身近にあることは、私たちが落ち着いて生活している重要な根拠の一つとなっています。撤去の方針はそれを砕いてしまうこと」と話します。

 規制庁によると県内のリアルタイム線量測定システムは2974台で、うち約2400台を撤去する方針です。

 住民説明会はこれまでに8自治体で9回実施され、どこでも撤去に反対する声が圧倒的です。今後は4自治体6カ所で住民説明会が予定されています。すでに10市町村が撤去反対を表明しました。

幕引きを狙う国

 なぜ今、撤去なのか。県民からは、原発事故やそれによる被害を終わったことにする国の方針の一環だと指摘する声があがっています。

 「みんな放射能の不安をかかえていて、身近なところで確認できるのが安心につながります」。県議会でモニタリングポストの撤去中止の立場に立つよう県に求めた日本共産党の宮本しづえ県議は言います。

 「放射線量が下がったとはいえども設置場所は何度も除染して下げた結果であり、その周りが除染されているわけではありません。リアルタイム線量計を増やすことはあっても減らすことはありえない。事故を起こした国の責任を考えるなら、撤去方針は出せないはずです」


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