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2018年9月11日(火)

主張

自民党総裁選論戦

アベノミクスの破綻説明せよ

 北海道地震で「自粛」していた自民党の総裁選の活動が再開され、安倍晋三現総裁(首相)と石破茂元幹事長が行った候補者所見の発表演説会や共同記者会見を聞きました。首相選びに直結する選挙として、看過できないのは安倍氏の改憲への前のめり姿勢とともに、経済政策「アベノミクス」への手放しの賛美です。政権復帰以来の6年間で「まっとうな経済を取り戻すことができた」と言いました。大企業や大資産家は潤っても国民の暮らしが悪化する経済がまっとうなのか。首相に求められるのは経済政策破綻への説明です。

国民の所得・消費に触れず

 安倍氏が所見発表の演説会などで経済政策の成果として持ち出すのは、求職者に対する求人数の割合を示す有効求人倍率が上昇したなど、自分に都合の良い数字ばかりです。有効求人倍率は上昇しても、増えた求人は主に賃金の安い非正規の労働者で、非正規労働者の比率は安倍政権復帰前の2012年平均の35・2%から昨年の平均は37・3%に上昇しています。安心して働ける雇用を破壊して、経済の改善とは言えません。

 安倍氏の演説には国民の所得や消費がどうなったのかの説明は一切ありません。これまで繰り返し批判されてきたように、「アベノミクス」は円安や株高で企業や大資産家のもうけを増やしましたが、ほとんどは株主への配当や内部留保などになり、労働者の所得にも家計の消費にも回っていません。財務省の最近の発表では、大企業(資本金10億円以上)の17年度の内部留保は前年度より22兆円も増え425兆円を超えました。12年度に比べると1・28倍です。

 これに対し賃金は伸び悩み、消費税などの増税もあって、2人以上世帯の家計の実質可処分所得は12年平均の44万5497円が17年には43万2253円に減少していると、指摘されています(「東京」6日付)。「アベノミクス」の下で格差が拡大しているとの批判に、安倍氏も「格差に光を当てていく」とは言い、拡大の事実は否定できませんでした。

 安倍首相が政権に復帰して始めた「アベノミクス」は、金融緩和、財政拡大、規制緩和などの「成長戦略」が柱です。金融は緩和しても、使い道がなければ内部留保に回るだけです。日本銀行が「デフレ脱却」の目標にした消費者物価の2%上昇はいつまでたっても実現せず、財政赤字は増える一方です。「待機児ゼロ」「介護離職ゼロ」などどんなに看板を架け替えてもどれ一つ目標は実現せず、「アベノミクス」は今や総破綻です。首相に求められるのは、都合の悪い数字には目をつむって一方的に“手柄”を語るのではなく、政策の破綻を率直に認め、失政を招いたことへの反省です。

消費税の増税には固執

 安倍氏は口を開けば「道半ば」と言いますが、6年もたって成果が目に見えない政策は失敗でしかありません。総裁選が再開された日に発表された今年4~6月期の国内総生産(GDP、改定値)でも増えているのは企業の設備投資などで、個人消費は速報値から据え置きです。

 安倍氏は記者会見で消費税は来年10月から「予定通り引き上げていきたい」と明言しました。暮らしを顧みない「アベノミクス」を中止させることが不可欠です。


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