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2018年8月31日(金)

障害者雇用省庁水増し

当事者の声踏まえ防止策を

野党が合同ヒアリング

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(写真)障害者雇用水増し問題の野党合同ヒアリング。左は障害者団体関係者=30日、国会内

 日本共産党など野党は30日、中央省庁の障害者雇用率水増し問題について、各省に対する4回目の合同ヒアリングを開きました。共産党からは田村智子参院議員が出席しました。

 ヒアリングでは、厚生労働省が水増しの具体例について「(書面で提出する)準備を進めさせていただいている」と発言。死亡職員を障害者に加えるなど意図的な水増し例が報道されていることについて問われた各省担当者は「心当たりはございません」「承知していません」などと答えました。

 今回の水増しが明らかになった経緯について厚労省は、5月に財務省から障害者の範囲に関して問い合わせがあったことがきっかけとしています。この問い合わせの理由について財務省は「報道機関から、障害者雇用率についての取材の申し入れがあり、それを受けて念のために厚労省に問い合わせをした」と話しました。

 障害者雇用を推進する方策も課題です。総務省は全ての都道府県と政令指定都市が障害者を別枠で採用している実態を示す資料を提出。野党議員は「(国家公務員の採用では)現行法令で障害者のみを対象とする採用枠を設けることは可能か」と質問しました。

 これに対して人事院の担当者は「法定雇用率を達成するために、応募者を障害者に限定した選考採用や障害者枠を設けた採用試験を行うことは現行法令上可能。関係府省連絡会議のなかで各府省間と連携しながら検討してまいりたい」と述べました。

 障害者団体からは、中央省庁で障害者が働きやすい環境整備を求める声も上がりました。共産党の田村議員は「働き続けることのできる環境整備が絶対的な条件という指摘は重要だ」と語り、原因の徹底究明とともに、当事者の要求を踏まえた再発防止策の抜本強化を求めました。

当事者団体から改善求める声次々

 30日に国会で開かれた野党合同ヒアリングでは、障害者団体の当事者から、国や地方自治体自身の障害者雇用対策への不信や、抜本改善を求める声が相次ぎました。

 障害者の自立と政治参加を進めるネットワーク代表の傳田(でんだ)ひろみさいたま市議は、これまで省庁で障害者を対象とする特別採用枠を設けなかったのは、障害者雇用率が達成されているからだと回答した厚労省に対し「今回、障害者雇用率の達成ということはまったく覆された」と批判しました。

 日本障害者協議会の家平悟政策委員(障全協事務局次長)は、自治体では特別採用枠を設けて障害者雇用に頑張ろうというところもある一方、採用試験の時点で身辺自立や通勤が自分でできることなどを応募要件にあげるところもあると指摘。「中央省庁が反省の上に立って新たに雇用していくというが、どう進めていくかはあいまいなままだ。また働く権利が奪われるようなことが起こるのではないかと非常に危惧している」と強調しました。

 日本盲人会連合の工藤正一情報部長は「数合わせの雇用率ありきではなく雇用管理や合理的配慮などを合わせてやらないと本当に障害者の雇用ということは進まない」と強調しました。


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