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2018年8月27日(月)

主張

温暖化対策の議論

パリ協定の目標達成を真剣に

 地球温暖化対策の世界的枠組みであるパリ協定に基づき、温室効果ガスの排出抑制についての長期戦略づくりに向けた政府の有識者懇談会が、今月初めから議論を始めました。いま世界は脱炭素社会の実現に向かって大きな流れがつくられています。日本は主要国の中で温暖化対策の長期戦略の策定が遅れている国の一つです。安倍晋三政権はこれまでの後ろ向きの姿勢をあらためて、パリ協定の目標達成に向けて日本が役割を果たす議論をすすめるべきです。

世界は脱炭素社会の流れ

 日本の記録的な猛暑や豪雨をはじめ、世界的に異常気象が深刻化しています。気象庁は、西日本豪雨と観測史上最高を更新した猛暑についての検討会で、「異常気象の連鎖」が起こっており、地球温暖化にともない今後も豪雨や高温が繰りかえされる、と異例の警告をしました。温暖化対策は文字通りの緊急課題です。

 2016年に発効したパリ協定は、産業革命前とくらべ世界の平均気温の上昇で2度を十分に下回ることを目標にすえ、1・5度への抑制を努力目標に位置づけました。今世紀後半には温室効果ガスの実質的な排出をゼロにするとしました。

 パリ協定の具体化は、今年が節目の年です。9月初めにタイでパリ協定の特別作業部会が開かれ、12月初めにはポーランドで国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が開かれます。COP24でパリ協定の実施指針(ルールブック)案が示され、各国が合意をめざすことになります。また促進的対話(タラノア対話)を通じて国別目標を引き上げることも進行しています。アメリカのトランプ政権のパリ協定からの離脱表明後も、世界の大きな流れは変わりません。

 安倍政権は、長期目標として50年までに80%の温室効果ガスの削減をめざすとしています。しかし、いまのままではとても達成できません。30年までに「13年比で26%削減」という目標が国際的な基準に直すとあまりに低いためです。目標の抜本的な見直しこそ求められます。

 そのうえ安倍政権は、世界の「脱炭素・脱石炭」の潮流に逆行しています。7月に閣議決定した「エネルギー基本計画」がその典型です。二酸化炭素の排出量が格段に大きい石炭火力発電を、30年時点でも「ベースロード(基幹)電源」と位置づけ、あくまで依存し続けようとしています。石炭火力を「成長戦略」としてアジア諸国に輸出をすすめていることにも、国際的批判がおきています。

 長期戦略の有識者懇談会の初会合で、メンバーの中西宏明経団連会長(日立製作所会長)が「エネルギー基本計画」を前提とした議論を提案するなど、今後の行方が強く懸念されます。

 待ったなしの温暖化対策で、地球環境を守りぬくというパリ協定の目的の実現へ、日本が真剣に取り組む長期戦略の策定には、国民の運動と監視が必要です。

政策の根本的転換こそ

 石炭火力発電や原子力発電に頼る社会からの脱却が急務です。

 徹底した省エネルギーをすすめるとともに、日本でも発電量が増加している太陽光など再生可能エネルギーへの本格的な転換こそが求められます。


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