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2018年8月26日(日)

主張

障害者雇用の不正

水増し横行させた責任は重大

 多くの中央省庁が雇用する障害者の人数を、長年にわたって実際より水増しした数字で公表していた問題が、深刻な広がりをみせています。都道府県などでも同様のケースが次々と明らかになり、事態の根深さを浮き彫りにしています。厚生労働省は中央省庁の不正について調査結果を近く発表し、地方自治体などについても全国調査を行うとしています。障害者に働く場を率先して保障する立場にある国が、自らの雇用実態を偽り続けてきたことは、極めて悪質です。全容の解明を急ぐとともに、問題が放置されてきた責任を明確にただすことが不可欠です。

国民欺く背信行為に怒り

 国の指針に反し障害者手帳をもたない人などを障害者として算定していた人数は、中央省庁で昨年約3000人にのぼるといわれています。厚労省は昨年、国の行政機関で雇用されている障害者を約6900人と公表しており、その半数近くが水増しされた疑いが濃厚です。各地の地方自治体での不正な算定なども、毎日のように報道されています。行政の信頼を根幹から揺るがす異常事態です。

 中央省庁での水増しは、障害者雇用を一定比率で義務付けた仕組み(障害者雇用率制度)が始まった1976年から行われていたとの指摘もあります。40年以上の長期間、しかもこれほど大規模に不正が行われてきたということは、それだけ多くの障害者の雇用機会が奪われたことを意味します。その被害はあまりにも甚大です。

 だいたい障害者雇用率制度は障害者雇用促進法にもとづき、厳格な実施が必要なものです。政府自身、「障害者の雇用促進の柱」(2017年の厚労白書)と明記し、民間事業者に雇用率を達成するよう求めています。それだけでなく国や地方自体については「率先垂範する立場」から「すべての公的機関で障害者雇用率を達成すべく、指導を徹底している」(同白書)と強調していたものです。旗振り役の国が雇用者数を水増しし、雇用率目標(今年3月まで2・3%)を上回るように偽装する―。障害者をはじめ国民を裏切った、背信行為という他ありません。

 しかも、これらの偽った数字は障害者権利条約にもとづいて日本が16年に国連の委員会に提出した政府報告の資料にも、書き込まれています。ことは日本国内の問題にとどまらず、日本の障害者行政に対する国際的信用を大きく失墜させかねない状況でもあります。

 安倍晋三政権は「1億総活躍社会」を掲げ、障害者らが「希望や能力、障害や疾病の特性等に応じて最大限活躍できる環境を整備することが必要」として、障害者雇用の促進などを打ち出しています。しかし、今回の水増し問題は、障害者の雇用の場を拡大し保障する立場が政府に根本的に欠けていることを示しています。

安倍政権の姿勢問われる

 障害者雇用の水増しは、安倍政権下の14年に厚労省所管の独立行政法人「労働者健康福祉機構」(当時)でも発覚し、大きな問題になりました。この時なぜ中央省庁で同じような事態がないかを徹底的に調べようとしなかったのか。安倍政権の責任も問われます。

 国会での閉会中審査などを通じて、中央省庁の組織的・構造的問題にもメスを入れ、不正の根を断つことが急がれます。


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