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2018年8月24日(金)

障害者雇用率水増し 安倍政権の責任は

偽装事件 4年前にも

雇用拡大、差別解消に逆行

 障害者雇用促進法に基づく障害者雇用制度で、国の多くの中央官庁が障害者雇用率を水増し偽装していた問題は、地方自治体でも同様の水増し偽装が相次いで発覚し、真相究明と再発防止を求める声が日増しに高まっています。そうしたなか、「安倍政権が4年前の事件を機に、再発防止策を徹底していたら是正できていたのではないか」と同政権の責任を問う声があがっています。

 (北野ひろみ、村崎直人)


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(写真)中央省庁の障害者雇用率偽装は、障害者差別解消法を施行した国であってはならないことです。写真は同法施行(2016年4月1日)を喜ぶパレード=同年3月31日、東京都中央区

 4年前の事件とは、安倍政権下の2014年秋に発覚した厚生労働省管轄の独立行政法人「労働者健康福祉機構」(現・労働者健康安全機構)での障害者雇用率水増し偽装事件です。事件は、同機構で厚労省からの出向者を含む幹部職員らが2000年ごろから、障害者の実雇用率を水増しして、法で義務付けられた法定雇用率を上回っているかのように「障害者雇用状況報告書」を偽装していたというもの。15年3月に機構と元幹部3人が略式起訴され、罰金の略式命令を受けました。

 原因究明と再発防止策の提案を行った第三者委員会(委員長・手塚一男弁護士)は報告書(14年12月17日)で、偽装を続けた動機の一つとして、所管官庁が厚労省であり、過去の偽装が発覚すれば社会から厳しい非難を受けることになると考えたことなどがあると指摘。偽装は「組織防衛的な動機から行われたもの」だと断じました。

 障害者雇用制度では、国や自治体、各省庁が所管する独立行政法人の障害者雇用については、「率先垂範すべき立場」(2018年版「障害者白書」)にあるため、民間企業よりも高い法定雇用率の達成を義務付けています。

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公的機関に責任

 国や自治体などの公的機関は毎年6月1日現在の雇用状況を発表し、未達成の場合は、障害者の採用計画を作成しなければなりません。厚労省には、他の公的機関に必要な指導や勧告をする責任が課されています。

 ただし、未達成でも、民間企業に課している納付金を支払う制度は適用されません。理由は、この制度が達成した企業の障害者雇用に伴う経済的負担の一部を、未達成の企業が納付金という形で肩代わりする性格のものだからだとしています。

 第三者委員会は報告書のなかで、再発防止策として、同機構への提案とともに、国に対しても、独立行政法人にも納付金の支払い義務を課すことを検討するよう提案。

 さらに、各省庁や独立行政法人などに対して、国による立ち入り検査や訪問調査が全く行われていない現状を問題視し「立ち入り調査や訪問調査も積極的に行うべき」だと求めていました。

 第三者委員会は、事件の背景として、国の障害者雇用制度の仕組みと運用の不十分さを指摘していたのです。

 しかし、安倍政権は第三者委員会の提案に真剣に応える対応をとりませんでした。

 厚労省は事件後、他の独立行政法人について適正な運用を行っているかを確認しましたが、省庁については調査しませんでした。

 日本共産党の志位和夫委員長は20日の記者会見で、歴代政権の責任とともに「4年前の偽装発覚の時点で、中央省庁でも同様の事態がなかったのかを調べて当然だった。この段階できちんと対処すべきだったが怠った。その点では安倍政権の責任も問われている」と指摘し、国会での閉会中審査の早期開催を求めました。

閉会中審査要求

 障害者雇用率水増し偽装問題で、野党側は国会での閉会中審査を求めています。しかし、自民党の森山裕国対委員長は22日、閉会中審査の開催に消極的な考えを示したと報じられています。

 しかし、この問題は、障害者雇用で率先垂範すべき国や地方自治体が、法律で義務づけられた雇用率をごまかして、憲法で保障された国民(障害者)の働く権利を侵害した重大問題です。障害者雇用の制度と政策への国民の信頼を大きく揺るがしている大問題です。

 国会として、ただちに閉会中審査を開くなど真相究明に乗り出すことが求められています。


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