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2018年8月12日(日)

最賃格差に地方怒る

審議会答申 半数が上積み

 地域別最低賃金(時給)は、都道府県ごとの地方最低賃金審議会で2018年度引き上げ額の答申が出そろい、中央最低賃金審議会(中賃審)の示した平均26円増の目安額に対して、半数近い23県が1~2円を上積みしました。フルタイムで働いても生活できない低水準であるうえ、地域間格差を広げる安倍政権の方針に地方から「ノー」の声があがったものです。

 最賃は都道府県をA~Dの4ランクに分け、中賃審は目安に格差をつけています。今年は、Aランク(6都府県)27円、Bランク(11府県)26円、Cランク(14道県)25円、Dランク(16県)23円と、4円の差をつけました。

 平均値は人口を加味した全国加重平均を使い、安倍政権の目標「年率3%」にあわせて、人口の多い大都市部を引き上げ、地方を抑え込む仕組みです。目安による格差は225円。平均874円を実際に上回るのはわずか7都府県で、700円台が19県も残ります。これに対して、700円台にとどまる全19県がすべて上積みしました。

 全労連の地方組織などが意見陳述や意見書提出、会場前宣伝などに取り組みました。

 14~18年度の5年間で、最賃引き上げなどを求める意見書は全国の約15%に当たる248自治体で可決しています。

 2円上積みした愛媛の小田敬美審議会会長(愛媛大教授)は、他県が上乗せすると全国最低額になる可能性があり、「人口流出の懸念があった」と説明。1円上積みした青森の赤坂道俊審議会会長(青森大教授)は、非正規雇用の増加や県人口の流出を課題にあげました。

 しかし、全国どこの最賃でも生活できる水準に達していません。最高額の東京都985円で年1800時間働いても、月収14万7000円、年収177万円。最低額の鹿児島県761円では、月収11万4000円、年収137万円です。

 全国一律制度を確立し、中小企業に対する直接支援策とセットで「今すぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」ことが求められています。

 (田代正則)


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