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2018年8月12日(日)

きょうの潮流

 プロ野球で活躍した桑田真澄さんは小学生の頃から体罰を受けていました。最初は先輩から、のちには監督やコーチから。殴られるのは日常で、それが当たり前とされていた時代だったと▼指導者や上級生のやること、言うことには絶対服従。軍隊式の暴力体質は少しずつ改善されてきたとはいえ、いまだスポーツの世界には根強い。死ね、バカ、クズ…。人格を否定するような暴言を浴びせられ、追いつめられる選手も後を絶ちません▼独裁者のごとく振る舞い、判定までゆがめたとされるボクシング連盟会長。相手を傷つける反則プレーを強いた日大アメフト部監督。女子レスリングのパワハラ。東京五輪を前にしてスポーツ界の不祥事が相次いでいますが、多くは指導者が起こしています▼選手の人権も相手への敬意もない。「愛のムチ」といわれても愛情など感じたことはなかったという桑田さん。スポーツの現場に居座る誤った指導、それを容認する周りの態度こそが最大の課題だといいます▼一連の対応のなかには変化もみえます。これまで口を閉ざしてきた選手や関係者が勇気を奮って声をあげ、古い体質に異を唱え、問題を前向きに動かしはじめています。それは民主的な人間関係や自立を促してきた近代スポーツの原点です▼コーチの語源は「馬車」にあり、大切な人を送り届けるという意味があるそうです。選手の伴走者として、対等平等の立場で喜怒哀楽をともにする。そこにスポーツ文化を担う指導者の役割があるはずです。


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