2018年8月11日(土)
鼓動
「酷暑」が甲子園直撃
選手と観客に熱中症続発 健康を守る抜本的議論を
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今年の「酷暑」が甲子園を直撃しています。
選手や応援する生徒、観戦するファンに少なくない影響が出ています。甲子園球場のある兵庫県西宮市の最高気温が35度を超えた5日から7日までの3日間。球場内の救護室には、応援する高校生らを中心に、118人が運ばれています。
6日、大会第2日の第3試合で、北照(南北海道)の外野手が両足にけいれんを起こし、担架で運ばれました。
7日には高岡商(富山)の投手と内野手が相次いで足にけいれんを起こし治療を受けました。けいれんは熱中症の症状の一つです。
10日には球審が軽度の熱中症のため、八回から交代する事態も起きています。
治療を受けたある選手は日差しの強さを感じたといい、「汗をいつもよりかいていた」と話します。ベンチに戻るたびに水分を十分とっていたといいますが、それでも防ぎきれない現状にあります。
危険なのはグラウンドだけではありません。各校の応援団が陣取るアルプススタンドは、強い日差しが当たり、熱くなったコンクリートの影響で球場外よりも気温が高くなっています。
7日の午前11時30分ごろ、球場の外の気温は35度ながら、三塁側アルプススタンドは36・5度を超えていました。
数年前から夏の大会を観戦している30代の男性は「今年がいちばん暑い。今日は4時間で水分を2リットル以上飲んでいる」と大粒の汗を拭いながら話しました。
記者も40分ほど直射日光が当たるアルプス席で取材していたところ突如、汗が出なくなり、気分が悪くなる熱中症の症状を感じ、慌てて涼しいところに移動しました。
スタンド裏の通路では、暑さで体調を崩して座り込む応援の生徒の姿をしばしば目にしています。
年々厳しくなる暑さの中で真夏の日中に大会を続けていては、選手や生徒の健康を危険にさらすことになります。
甲子園のこの間の気温は、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」によると、激しい運動は中止する「厳重警戒」か「運動は原則中止」レベルに該当します。
早急に思い切った議論をすべき時期にきている気がしてなりません。例えば、気温がピークを迎える午前10時から午後5時の試合を避けナイターにしたり、他の球場を使用したりすることも検討すべき時期にきているのではないでしょうか。
何かが起きてからでは遅い。タイブレークも導入されました。選手の健康を第一に考えた運営に踏み出すべきときです。
(山崎賢太)