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2018年8月11日(土)

きょうの潮流

 なぜ住民は原発を受け入れたのか。先日まで福島県いわき市と東京・駒場で上演された芝居「1961年:夜に昇る太陽」は、福島県双葉町議会が原発誘致を決議する直前の、住民説得の様子を描きました▼「東北のチベット」と呼ばれ、出稼ぎが当たり前の貧しい地域。地権者の家に突然、東京電力本社と福島県庁の人間が現れて、原発建設用地の買収を申し入れます。数ヘクタールの土地代金と移転費用に(現在価格で)3億円出すと▼県の役人は「この町が仙台のような都会になる」と夢を語り、広島出身の東電部長は「広島を知っている私が言うのです。原発は安全です」と確約する。作・演出の谷賢一さん(36)は、この人物とセリフは当時の記録にあると言います▼「福島3部作」の第1部。来夏には3部作上演の予定。第2部は反対運動のリーダーが双葉町長になり、原発増設を要求した事実を題材にします▼札束をちらつかせ、安全神話で不安を抑える。この構図はいまも変わりません。原発再稼働について全国世論の6割が反対の一方で、原発立地の町では賛成が6割以上。その理由に5割以上が「地域経済と雇用のため」をあげます▼しかし、原発事故で自宅も農地も失った双葉町の田中実・信一さんの父子は「豊かになったけれど、その代償はあまりに大きかった」と。全国の原発は止めてほしいと語っています。証言動画がNHKアーカイブス「戦後日本の歩み」で見られます。原発が結局地域経済を壊した事実を忘れてはいけません。


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