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2018年8月3日(金)

きょうの潮流

 「つながり孤独」という言葉を最近知りました。インターネットを通じ、いつでも誰とでもつながれる裏で、若者たちは深い孤独を感じているというのです。NHKの「クローズアップ現代+」でも取り上げていました▼「つながっているけど本音を話せない」「友だちの楽しそうな写真を見て、自分との落差を感じて落ち込む」。番組では「SNSよりも生身の人間にかかわりたいけど、そのかかわり方がわからない」という声もありました▼これを見て思い出したのが、ゴリラ研究で有名な山極寿一(やまぎわじゅいち)京大総長の話です。ネットやスマホの普及で、人間は体でなく、ますます脳(言葉)でつながるようになってきた。その結果、目の前の人と共感しあうのが面倒になり、不安に陥っていると。本紙日曜版の7月29日号で語っていました▼山極さんは、そうした傾向を人間社会の「サル化」と呼びます。人間は進化の過程で、共感力と社会性を高めて発展してきたのに「いま社会性を捨てようとしている」と▼日本だけではありません。イギリスでは900万人が日常的に孤独を感じているといわれ、1月には孤独担当大臣が新設されました。同国の孤独による経済的損失は5兆円という推計もあります▼どうすればいいのか。ゴリラに学ぼうと山極さん。ゴリラはいつも一緒にいるなかで互いの意図や感情を的確に読みます。スマホで遠くの人とつながるよりも、食事や掃除、スポーツや音楽で身近な人と体を使ったつきあいを。大事なヒントです。


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