2018年7月30日(月)
きょうの潮流
米国全体で女性参政権が実現したのは20世紀初頭のこと。その源流となったのがニューヨーク州の町で開かれた女性の権利に関する会議でした。ちょうど170年前の7月の出来事です▼「男性と女性はすべて生まれながらにして平等である」。会議出席者が署名した「宣言」は「市民の第一の権利である選挙権」を女性に保障するよう要求しました▼今年秋の米中間選挙の予備選では、女性の候補者が多いことが話題になっています。民間研究所によると下院では500人近くの女性が出馬を表明。予備選で敗れた人はいるものの「歓迎すべき突破口が開かれた」と同研究所は指摘します▼背景にあるのは、女性蔑視発言を繰り返すトランプ大統領への抗議、セクハラ撲滅を訴える#MeToo(私も)運動の高揚です。ニューヨーク州の選挙区の民主党下院予備選では「民主的社会主義者」を名乗る女性候補が男性の大物現職を破る番狂わせも。女性候補は男女賃金格差の是正など社会正義を訴えて共感を広げました▼トランプ政権発足直後の「女性大行進」には全米で300万人が参加。運動は着実に米国社会に影響を与えています。女性の進出で議会の「ほぼ男性」状態が変われば、議題は様変わりすると指摘する識者も▼170年前の「宣言」は世間の「誤解、虚説、嘲笑」に抗してたたかう決意を表明し、実際にそれを乗り越えて参政権を獲得しました。いま次々と選挙に挑む女性のたたかいも、歴史を前にすすめる大きな一歩です。