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2018年7月23日(月)

きょうの潮流

 木曽路はすべて山の中である―。藤村の「夜明け前」にあるように、山深いこの地には美しき日本の風景が残っています。山でキノコや山菜をとったり、川で魚を釣ったり。その豊かな自然の中で育った少年が快挙を成し遂げました▼大相撲で歴史的な初優勝を果たした御嶽海です。3横綱と新大関が不在の名古屋場所で関脇として13勝2敗の好成績。力強い踏み込みからの速い攻めで白星を重ね、さびしい土俵を盛り上げました▼旧中山道の宿場町だった長野県上松町の出身。なにしろ同県出身力士の優勝は現行の優勝制度ができた1909年(明治42年)以降初めて。さかのぼれば、江戸相撲の最強力士とうたわれた「雷電」以来およそ200年ぶりとか▼地元の熱狂はすごく、連日の大声援で後押し。本人も地元愛がつよく、4年前に噴火災害を起こした御嶽山にちなんだしこ名には、落ち込む地域を勇気づけたいとの思いが込められています▼昔から大相撲人気を支えてきた、おらが郷土のおらが力士。フィリピン出身の母親も町に溶け込んでいます。それにしても、負傷で休場する力士が相次いでいる現状は深刻です。年6場所に加えて増える地方巡業の過密日程を背景にあげる声は大きい▼厳しい環境に力士たちが待遇改善の要望書を出したこともありました。大型化が進むなかで、御嶽海のように稽古のあり方を見直す関取も。たくさんの人たちとつながる力士を大切にして本場所の充実に努める。それこそが大相撲の魅力ではないか。


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