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2018年7月14日(土)

参院選挙制度自民案に対する

井上議員の反対討論

参院本会議

写真

(写真)反対討論する井上哲士議員=11日、参院本会議

 日本共産党の井上哲士議員が11日の参院本会議で行った自民党の参院選挙制度改定案(公職選挙法改定案)に対する反対討論は次の通りです。

 未曽有の災害の下で、6野党・会派の党首がそろって総理に対し、行政府、立法府が一体となって取り組む体制を整え、関係大臣は災害対策に最優先で取り組むよう申し入れました。同日、参院議長にも同様の申し入れを行いました。そして、土砂災害対策に責任を持つ石井啓一国交相がカジノ担当相として出席することになる内閣委員会でのカジノ法案の質疑は中止すべきだと野党は繰り返し求めました。ところが、与党はこれに耳を貸さず、委員会を強行しました。

 今もなお被害は拡大しています。全ての議員に心から呼びかけます。今、全会一致の決議で、人命救助に全力を傾注し、国の総力を挙げた支援を求めた以上、国会としての責任を果たそうじゃありませんか。カジノ法案の質疑は臨時国会に先送りし、豪雨災害対策に全力を挙げようではありませんか。

 選挙制度は議会制民主主義の土台であり、どのような制度にするかは議会を構成する各党会派間で議論を重ね、合意を得る努力を尽くすことが不可欠です。だからこそ、選挙制度改革について、議長の呼びかけによる各派代表者懇談会で参院改革協議会を設置し、選挙制度専門委員会で、17回にわたる議論が行われてきました。

 ところが、自民党は、この協議で改憲を前提とする案に固執し、合意形成への最大会派としての責任を果たそうとしませんでした。さらに、自民党は専門委員会報告作成後、そこで一切提示のなかった案を突然改革協に提示しました。

 本来、議長は、こうした自民党のやり方を厳しくいさめ、合意形成にイニシアチブを発揮すべきです。ところが、伊達忠一議長は、改革協への差し戻しなど会派間の協議を求める野党の声に背を向け、各派代表者懇談会も打ち切ってしまいました。議長の職責を放棄したものです。

 石井浩郎政治倫理・選挙特別委員会委員長の責任も重大です。会派間協議への差し戻しを求める理事懇、理事会での野党の主張に一切耳を貸さず、自民党の提案のままに職権による委員会開催を繰り返しました。しかも、5法案を一括審議している最中に、特定の2法案のみを採決するという自民党の全く道理のない提案をそのまま進めようとし、採決対象となった維新の会からも厳しい批判の声が出されました。

 さらに、本日の委員会で自民党は、質疑を打ち切り、討論も省略する動議を強行し、反対討論を封じる中で採決する暴挙を行いました。これら選挙制度改革に対しあまりにも非民主的で強権的なやり方に厳しく抗議します。

 以下、法案に反対の理由を述べます。第一は、参院選挙制度改革に求められている抜本改革に全く値しないからです。

 参院選挙制度をめぐる2014年11月26日の最高裁判決は、都道府県単位で各選挙区定数を設定する現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法措置により、違憲状態にある1票の格差是正を求めました。3年前の公選法改正では、付則に、19年参院選に向け、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るとしました。自民党の改正案は、合区も残して基本的制度を維持したままで、比例代表に自民党の都合による特定枠を盛り込んだものであり、抜本改革には全く値しません。

 第二の理由は、比例代表選挙への特定枠の導入が合区で立候補できない自民党議員・候補者を救済する党利党略のものだからです。

 大体、現行の非拘束名簿は、2000年に自民党が提案して強引に導入したものです。自分たちの都合で拘束名簿を部分的に再度導入することは、ご都合主義極まれりと言わなければなりません。

 希望する政党には比例名簿順位を付けることを可能にする案は、前回の選挙制度協議会で示された自民党案の中に合区とともに盛り込まれ、「選挙区で立候補できなくなる人を比例名簿の上位にすること」を可能にするものと露骨に述べています。当時、単独過半数を持たない自民党は法案に盛り込むことを断念しました。過半数を得た今回、特別枠として提案をしたのが経過です。党利党略であることは明らかではありませんか。

 改めて、採決はやめ、参院改革協での会派間協議に差し戻すよう強く求めます。


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