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2018年7月14日(土)

主張

広がる豪雨被害

従来の枠を超えた対策・支援を

 西日本を中心にした記録的な豪雨による土砂災害、河川の氾濫、浸水などに襲われた被災地では懸命の捜索、救助活動が続きます。最初の大雨特別警報から1週間となった13日現在、死者が190人を超え、40人以上が依然不明です。状況がまだ不明の地域も少なくないため、被害がさらに広がる恐れもあります。各地の避難所には約6000人が身を寄せているほか、親族や友人宅にいる人、断水などが続く自宅で暮らす人もいます。全ての被災者への支援強化が緊急に求められています。

被災地襲う酷暑の中で

 犠牲者の多い広島、岡山、愛媛などの被災地では最高気温が35度を超えるような酷暑の中で、住民とボランティア、捜索隊が作業を余儀なくされています。各府県にある避難所では冷房設備が行きわたっていないところも多く、熱中症や感染症が懸念されています。慣れない避難生活の中で体調を崩す高齢者や乳幼児が出ており、飲料水や食料を確保し、冷房設備などを全ての避難所に配備して、健康を守るため万全の措置をとることが不可欠です。

 被害にあった家屋から出される大量の廃棄物については、置き場の増設などが急務です。

 災害救助法が適用された自治体では、避難所への保健師の派遣、炊き出し、衣類はじめ生活必需品の供給、仮設トイレ、医療・助産などで、国の財政負担を求めることができます。自治体がこうした応急措置を迅速かつ積極的に活用して避難所などの生活・環境改善を図ることができるよう、政府は現場まかせにしないできちんと対応すべきです。

 被災自治体では水道や道路、鉄道のライフラインの破壊が深刻です。とくに断水は広島県を中心に広い範囲で続いており、その回復は当面の復旧にとって切実です。

 生活再建では、住宅問題が重要です。被災者が安心して安全に暮らせる仮設住宅などの確保は、緊急の課題です。堤防決壊で地域の約3割が浸水した岡山県倉敷市の真備町地区では、「この古里で暮らし続けたい」と自宅再建を望む住民も多くいます。

 大規模な災害時に適用される被災者生活再建支援法がありますが、支給される金額は少なく、適用される対象も狭く、被害の実情に見合っていないことが災害のたびに問題になってきました。

 生活再建支援法の仕組みを抜本拡充し、「半壊」なども対象にする、支援金を現行最大300万円から少なくとも500万円に引き上げることが必要です。今回の災害はかつてない被害規模になっており、従来の仕組みの見直し、改善こそ必要です。政府は、個人の財産被害は補償しないという姿勢を根本から改めるべきです。

 仮設住宅をつくるにあたっては、被災者がそれまで住んでいた地域社会の維持を十分に配慮することが大切です。高齢者などを孤立させないという過去の大規模災害の重要な教訓です。

政治が役割を果たせ

 被災者の健康を脅かす過酷な避難生活を強いることは、日本国憲法がかかげる個人の尊厳や生存権の保障にてらしても大問題です。国際的な水準と比べても立ち遅れているとの指摘が相次いでいます。「災害大国」に見合った政治の役割を果たすときです。


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