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2018年7月8日(日)

きょうの潮流

 善かれあしかれ、私たちは生きている間に時代を画す出来事に遭遇することがあります。そのときの記憶は、同じ時世の流れのなかにいる人びとに忘れがたく刻み込まれています▼23年前に社会を震え上がらせた地下鉄サリン事件もそうでした。テレビに映った異様な光景はあのときの自分とともに今もよみがえります。教祖の麻原彰晃(本名=松本智津夫)をはじめ、オウム真理教のメンバーとしてすり込まれた面々も▼坂本弁護士一家殺害や松本サリン事件、そして朝のラッシュ時を狙った化学兵器による無差別テロ。狂気に走った殺人集団の真相は語られないまま、麻原や元幹部の死刑が執行されました。多くの“なぜ”を残して▼オウム真理教が世に現れたのは、列島がバブルで踊っていた頃でした。カネや物欲にまみれた現世に嫌気がさし、魂の救済を求めた―。古くからの元信者が語っていました。最盛期には1万人もいたという信者のなかには、進むべき道を探していた若者の姿が多く▼宗教を隠れみのにして、人殺しを正当化していった教団。いくつもの兆候がありながら、警察や行政の対応が遅れたのはなぜか。地下鉄サリンで夫を亡くした高橋シズヱさんは「初期の事件をきちんと捜査していれば、オウムをあそこまで増長させることはなかった」▼偽りが横行し、規範が乱れ、格差がひろがる社会。先行きが見えない状況は現在も同じです。若者を惑わし、過激な行動に向かわせた「オウム」を、過去の話にしてはいけません。


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