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2018年7月7日(土)

松本死刑囚 真相語らず

「繰り返したらいけない」

オウム被害者家族ら傷痕深く

 死者29人、被害者6000人超という犠牲を一連の事件で引き起こしたオウム真理教の元代表松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(63)。元幹部ら6人とともに死刑が執行されたものの、なぜ事件を起こしたのか、幹部はなぜ指示にしたがったのか、事件の真相は語られぬまま。地下鉄サリン事件が起きるまで、警察や行政がオウムを捜査、規制しなかった理由も解明されていません。被害をうけた家族、友人、関係者らの傷痕は深く、思いは複雑です。

闇に閉ざされて残念

坂本弁護士所属 横浜法律事務所

 オウム真理教に殺害された坂本堤弁護士が所属していた横浜法律事務所は6日、記者会見して談話を発表しました。

 談話では、同法律事務所が松本智津夫死刑囚に対して「少しでも人の心、良心が残っているのなら、この判決を厳粛にかつ正面から受け止め、今後は被害者に対する心からの謝罪とともに、真実を自らの口で語るべきである」と求めてきたことを紹介し、しかし謝罪の言葉もないまま死刑が執行され、「事件の核心部分が闇に閉ざされたままになり残念だ」としています。その上で「正当な弁護業務に対する最も卑劣かつ悪質な妨害である坂本弁護士一家事件を決して忘れることなく、弁護士業務への妨害に屈することなく、今後も坂本弁護士の志を受け継いでゆく決意である」としています。

 記者会見した小島周一弁護士は「ついにこの時が来たかという気持ちだ」と述べました。電話で話した坂本弁護士の母さちよさんは「突然のことで整理して語られないと言っていた」と複雑な心境だったと報告しました。

 小島弁護士は坂本弁護士の人柄を「人間を最後まで信じる人だった。少年事件を起こした子どもたちに対して『人間は変われる』と信じて見捨てない男だった」と語りました。

終わったね 安らかにね

坂本弁護士の母さちよさん

 坂本堤弁護士の母坂本さちよさんのコメントは次の通りです。

 今日、麻原と、その他の幹部に対する死刑が執行されたと聞きました。

 麻原に対する裁判が終わったときは「やっとか」っていう気持ちになったし、死刑判決が出てからもいつまでも生かされているということで「なんでいつまでも死刑にならないの」という声も聞きました。

 私も麻原は死刑になるべき人だとは思うけれど、他方では、例え死刑ということであっても、人の命を奪うことは嫌だなあという気持ちもあります。

 事件が起きてから今まで、長い時間だったなあと思います。堤、都子さん、龍彦には「終わったね。安らかにね」と言ってあげたいです。

 息子たちの救出活動に尽力してくれた方々、救出活動の訴えに長い間協力して下さったマスコミの方々には本当に感謝しております。

 ただ、今は、体調のこともあり、皆様に直接お話しすることができないことをご理解いただけたらと願っております。

 長い間、本当にありがとうございました。

 2018年7月6日 坂本さちよ


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