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2018年7月2日(月)

主張

改憲手続き法改定

国民が望まぬのに必要はない

 自民、公明など一部の政党が「改憲手続き法」(国民投票法)の改定案を国会に提出し、日本共産党などが反対する中、衆院憲法審査会での趣旨説明を強行しようと画策しています。改憲の手続きを定めた同法は、国民の多くが改憲を望んでいない以上、不要な法律であり、ましてや改定の必要もありません。自民党など改憲を推進する党だけで改定案を提出したことを見ても、改憲への執念は明らかです。しかも改定案には、国民投票の最低投票率・得票率の規定がないなど、現行法の根本的な欠点を放置しており、改憲を進めることだけを狙った法案です。

「改憲支持」は少数派

 最近のどの世論調査で見ても、安倍晋三首相や自民党が持ち出した、憲法に自衛隊を書き込むなどの改憲を望む国民は少数派です。今年の憲法記念日(5月3日)前後に新聞やテレビが行った世論調査でも、安倍政権による改憲「反対」が61%(「共同」)、58%(「朝日」)で、憲法「改正」より「ほかの問題を優先すべき」が68%(NHK)などとなっています。

 憲法は96条で、憲法の改正は国会議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で国民の承認を受けると定めています。憲法が施行されたのは1947年ですが、改憲に執念を燃やす第1次安倍政権の手で、「改憲手続き法」が野党の反対を押し切って制定されたのは2007年です。施行から半世紀以上も「手続き法」がなくても何の不都合もなかったのは、憲法が定着し、国民が改憲を望まなかったからです。この事情は今も変わりません。「手続き法」はその後、投票年齢が「18歳以上」に引き下げられるなどしましたが、制定から10年以上も国民投票の実施が問題にならなかったことからも、改定は全く課題ではありません。

 秘密保護法の制定や安保法制=戦争法の強行など、憲法破壊を続けてきた安倍政権は昨年来、憲法9条に自衛隊を書き込む案を示すなど、明文改憲の策動を強めています。しかし国民の多くは改憲を望まず、とりわけ危険な安倍政権の下での改憲に反対しているため、今国会での改憲発議が事実上不可能になるなど思い通り進みません。そこで改憲勢力が、“環境づくり”のために持ち出してきたのが「改憲手続き法」の改定問題です。

 憲法にかかわる法案は主要な与野党の「合意」が建前なのに、自民、公明、維新、希望の改憲支持の4党だけで改定案を提出したことにも、改憲が思惑通りいかず、追い詰められた改憲勢力の焦りは明白です。自民党などは6月28日の憲法審査会で改定案の趣旨説明を強行する構えを示しましたが、野党の反対で見送りました。大義のない企てをやめるべきです。

「安倍改憲」は断念せよ

 もともと安倍政権が強行した「改憲手続き法」は、国民投票の際の最低投票率や絶対得票率の規定がなく、放送を使った「有料広告」が無制限のため、資金がある権力側に有利などの危険な中身に強い批判が集まっています。自民党などの改定案は駅に共通の投票所を設置するなど公選法改正に合わせた「部分的」なもので、根本的な欠陥はそのままです。

 「小手先の改定」を持ち出して改憲をあおることは許されません。安倍政権は改憲策動をきっぱり断念すべきです。


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