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2018年6月24日(日)

森友検査院中間報告

国の概算額提示、不適切

「正当」の主張 退ける

 会計検査院が、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざんが明らかになったのを受けて、昨年11月の検査報告への影響や取引の経緯・妥当性について再検査に乗り出しています。19日に国会に提出した中間報告で、国が学園に貸付料の「概算額を提示したと認められる」「適切とは認められない」と断じました。


 報告は、日本共産党国会議員団の追及に対して概算額提示の事実を認めながら、正当だとしてきた国の主張を退けたもの。契約行為そのものの正当性が崩れました。

 大阪府豊中市の国有地について、財務省近畿財務局(近財)は学園と、10年間貸し付け、その間に売却するという異例の契約を締結。同地を新設の小学校用地にしようとしていた学園は、資金難から、貸付料の減額を繰り返し要求していました。

 貸付料をめぐっては、2015年1月9日の交渉記録(今年5月23日に財務省が公表)に、近財職員が学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=に、「3,000万円代半ば(3,400万円)程度となる」と述べたと記されていました。

 日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は、この記述について「価格の事前通知ではないか」と追及。財務省の太田充理財局長は、従来の「具体的な金額を提示したことはない」との答弁が「事実と異なっていた」と認めて謝罪する一方、「最終的に提示した予定価格は3300万円であり、3400万円は予定価格ではない」と強弁していました。(6月5日、参院財政金融委員会)

 検査院の中間報告は、1月9日の交渉記録と改ざん前の決裁文書に記されていた「経緯」を踏まえ、近財が同日に「貸付料概算額を森友学園側に提示したと認められる」と指摘。財務省の「3400万円は予定価格ではない」などの主張を、「森友学園側が貸付料の予定価格を類推することを容易にし、近畿財務局が有利な価格で契約を締結することの支障となり得るものであることから適切とは認められない」と退けました。

 異例の取引が発覚した当初、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)は「全て法令に基づいて適正にやっている」と答弁。安倍晋三首相は、妻の昭恵氏や政治家が関与して取引が学園側に有利に進んだ疑いを追及され、「独立した会計検査院が審査をすべきだ」とかわし続けてきました。検査院が「適切と認められない」と断じたことは重大です。

 改ざん前決裁文書や交渉記録からは、貸付契約の交渉時に籠池被告が、昭恵氏から「いい土地ですから、前に進めて」との発言があったと言い、籠池夫妻と昭恵氏のスリーショット写真を示したことが、交渉進展の転換点になったことが分かっています。中間報告は、昭恵氏関与のもとで学園に多大な便宜が図られたことを改めて浮き彫りにしています。(前田美咲)

写真

(写真)会計検査院が国会に提出した森友学園への国有地売却についての会計検査(再検査)の中間報告書(下線は本紙が追加)


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