しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月23日(土)

がん患者の人権踏みにじる

自民また暴言

安倍政権の強権体質が“土壌”

 受動喫煙をめぐる15日の衆院厚生労働委員会の参考人質疑で、自民党の穴見陽一議員が、参考人として出席したがん患者の長谷川一男さんの陳述中に「いいかげんにしろ」などと暴言を吐きました。人権をないがしろにし、国会、国民を見下す安倍政権・自民党の体質を示すものです。

 長谷川さんは家族や同僚などからの受動喫煙後、ステージ4(他の臓器にがんが転移している状態)の肺がんを患っています。質疑では病気のためにもろくなった背骨を守るコルセットを外して示し、「少しでも力がかかると背骨がつぶれ下半身不随になる」と恐怖を語りながら受動喫煙対策の必要性を訴えました。

 穴見氏の暴言は、長谷川氏の命がけの訴えを一顧だにせず、受動喫煙による患者の人権を踏みにじるものです。到底許されません。

 さらに、穴見氏は暴言について発表した「お詫び」の中で「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟(つぶや)いた」と記して弁解。

 しかし暴言が吐かれたのは、長谷川氏が屋外喫煙をめぐって喫煙者の思いにまで配慮する意見を述べた直後です。「差別すべきではないという想い」など通用しません。

 穴見氏だけではありません。松本文明前内閣府副大臣は、沖縄の保育園に米軍機の部品が落下した事故に関して「それで何人死んだんだ」(1月25日)との暴言ヤジで辞任。沖縄全土で相次ぐ米軍機事故のさなか、日々命と暮らしを脅かされる保護者や沖縄県民の苦しみを踏みにじりました。

 下村博文元文科相は、財務事務次官によるセクハラ事件で被害女性がセクハラ発言を録音していたことについて、「福田次官は、はめられた」「ある意味犯罪だと思う」(4月22日)などと述べ、被害者を犯罪者扱いし、女性蔑視をあらわにしました。

 安倍政権下での暴言による人権じゅうりんは数え切れません(表参照)。

 背景にあるのは、基本的人権や生命など「個人の尊厳」を国家権力から守る立憲主義破壊の安倍政権の強権政治です。

 安倍政権は、集団的自衛権の行使容認をして9条の解釈改憲を閣議決定し、安保法制=戦争法を強行成立させるなど、日米安保を絶対視して立憲主義を破壊。今国会ではカジノ実施法案や「働かせ方大改悪」法案など悪法の強行成立を国会会期を延長してまで狙い、数の暴力をふるうことに恐れも慎みもありません。この安倍政権の体質こそ、暴言を生み出す最大の土壌です。

 国民の命も暮らしも踏みにじる安倍政権は早急に退陣すべきです。(日隈広志)

[自民国会議員の暴言]

 ・松本文明衆院議員「それで何人死んだんだ」(沖縄で続発する米軍機事故について。1月25日、衆院本会議でのヤジ)

 ・渡辺美樹参院議員「週休7日が人間にとって幸せなのか」(過労死遺族に対して。3月13日、参院予算委公述人質疑)

 ・下村博文元文科相・衆院議員「ある意味犯罪だと思う」(セクハラの被害女性が福田淳一財務事務次官の発言を録音したことについて。4月22日、東京都内での講演会)

 ・加藤寛治衆院議員「必ず3人以上の子どもを産み育てていただきたい」「結婚しなければ子どもが生まれないから、ひとさまの子どもの税金で(運営される)老人ホームにいくことになる」(5月10日、派閥の会合で)

 ・麻生太郎財務相「(セクハラの被害女性に福田氏が)はめられた可能性は否定できない」(5月11日、衆院財金委)


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