しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月23日(土)

きょうの潮流

 イタリア人の環境活動家から「ぜひ一読を」と勧められた文献があります。ローマ法王が2015年に出した回勅『ラウダート・シ(称(たた)えられますように)―ともに暮らす家を大切に』です▼気候変動は自然災害を深刻化させ貧困層を苦しめる。環境破壊と貧困問題を一体に考え、対策を急ぐよう訴えた回勅(書簡)です。すべての国が参加する地球温暖化抑止の国際条約「パリ協定」を採択する推進力の一つになりました▼「経済的、政治的に多くのものを保持している人々は、問題を軽視し、その兆候を隠匿しようとする」。回勅でこう指摘した法王は今月上旬、エクソンモービルやBPなど石油大手企業の最高経営責任者(CEO)をバチカンに招き、会議を開きました▼化石燃料から脱却する方向を明確に示したパリ協定。ところが石油大手企業は化石燃料の開発・掘削を続けています。英紙によると法王は会議で“このままの姿勢で良いのか?”と問いただしました▼CEOがこの警告をどう受け止めたのか今後の政策に注目したいところです。ここで大切なのは政治の姿勢です。主要7カ国(G7)の政府はパリ協定採択後も化石燃料へ多額の補助金を拠出しています。特に安倍政権は石炭火力発電所の輸出を推進する逆行ぶりです▼私たちは地球温暖化の影響を受ける最初の世代であり、それを止める対策を打てる最後の世代といわれます。未来の世代への責任として、「これで十分か?」(法王)と常に問いかけていかなければなりません。


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