しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月21日(木)

国会会期延長に対する畑野議員の反対討論(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の畑野君枝議員が20日の衆院本会議で行った国会会期延長に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


写真

(写真)反対討論する畑野君枝議員=20日、衆院本会議

 いったい何のための会期延長でしょうか。政府・与党が「働き方改革」法案やTPP(環太平洋連携協定)11関連法案をはじめ、19日の衆院本会議で与党が採決を強行したカジノ実施法案を成立させるためだと述べていることは重大です。国民の多数が反対する悪法を通すための会期延長は断じて認められません。これらの法案が今なお成立していないのは、審議で重大な問題点が明らかになり、それへの国民的な批判があるからです。

 憲法は、議会制民主主義の基本として会期制の原則を定め、国会法68条は「会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない」ことを原則と定めています。会期末に審議未了の法案が廃案となるのは当然です。今国会を会期どおり閉じ、政府は国民の批判の声に謙虚に耳を傾けるべきです。

 「働き方改革」法案は、安倍政権が今国会の目玉法案と位置づけながら、その根拠とされた労働時間データのねつ造が次々と発覚し、立法事実そのものが根底から崩壊しています。労働政策審議会の議論からやり直すべきです。

 法案が導入する「残業代ゼロ制度」=高度プロフェッショナル制度は、初めて労働時間規制を適用しない労働者をつくりだし、8時間労働制を中核とする戦後の労働法制を根底から否定します。年104日さえ休ませれば、24時間労働を48日間連続して行わせることも排除されません。すべて自ら選択したものとされ、長時間労働に追い込まれることは明白です。

 また、法案の残業時間の上限規制は、単月100時間未満、複数月平均80時間の残業を可能とし、まさに過労死ラインの残業を合法化します。「過労死防止法に逆行する法案は絶対にやめて」という過労死家族の会や全国の働く人々の声に耳を傾け、廃案にすることを強く要求します。

 会期延長でカジノ実施法案を成立させるなど言語道断です。カジノ法案は、刑法が禁じた賭博を合法化し、民間事業者の私的利益のためのカジノ開設を初めて認めます。人の金を巻き上げる賭博に経済効果などありません。ギャンブル依存症や多重債務者が増加し、生活破綻や治安悪化を招くだけです。だから国民の6~7割という圧倒的多数が反対しているのです。

 政府は世界最高水準のカジノ規制と依存症対策をするといいましたが、実際はカジノ面積の上限規制を外しています。公営ギャンブルやパチンコでは認められていない、客への金の貸し付けをカジノ事業者に認めます。カジノ管理委員会は独立した規制機関だといいながら、その経費も人もカジノ企業に依存することになっています。石井啓一カジノ担当大臣も「カジノの弊害を心配する声が多い」と認めました。

 重大なことは、カジノ法案について、政府・与党が国民の疑問に答える十分な審議を拒否してきたことです。国民の声を聞く公聴会・地方公聴会にも応じず、委員会定例日の質疑を拒否し、15日の内閣委員会で野党の「審議継続を求める動議」を無視し、わずか18時間の審議で採決を強行しました。政府・与党の側が法案審議を拒否して会期末を迎えながら、法案審議のために延長するなどと、どうして言えるのか。一片の道理もありません。


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