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2018年6月17日(日)

「骨太方針」社会保障 財界要求に沿う削減路線

国民の願い踏みにじる

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(写真)医療・介護の充実を求めて繁華街をデモ行進する労働者ら=3月15日、京都市

 安倍政権は「骨太の方針2018」(以下「骨太」)で、社会保障を「歳出改革の重点分野」と位置づけ、財界の要求に沿って、いっそうの国民負担増と給付の抑制・削減を打ち出しました。

 安倍政権は、16~18年度までの3年間を「改革集中期間」として医療や介護の社会保障費の自然増を大幅に抑制してきました。「骨太」では19~21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、さらなる自然増の抑制、患者・利用者への負担増や給付の抑制・削減を徹底する方針となっています。

 経済財政諮問会議で、日本経団連の榊原定征会長(当時)らは、団塊世代が75歳を超える2020年代までに、社会保障の削減路線をさらに強化するよう提言。「骨太」の内容は、それを忠実に具体化したものです。

 医療では、現行は原則1割である75歳以上の窓口負担の「見直し」を明記。財務省の財政制度等審議会の「建議」ではすでに「2割負担」が提起されており、負担引き上げの方向は明瞭です。かかりつけ医以外の外来で受診した患者から追加負担を徴収する「受診時定額負担」の導入や、薬剤費の自己負担の引き上げなども明記されています。

 介護では、▽要介護1、2の人の地域支援事業への移行による介護保険サービスの利用抑制▽介護保険を利用するために欠かせない、ケアマネジャーによるケアプラン作成の有料化▽老人保健施設や介護療養病床で、現在は自己負担がない多床室の室料の有料化などが挙げられています。

 医療や介護の自己負担が3割となる「現役並み所得者」の判断基準(収入要件等)を見直して対象を拡大することや、マイナンバーを活用して高齢者の預貯金などの資産を把握し、それを医療・介護の負担増に反映させる仕組みの導入も検討課題に挙げています。

 「骨太」はこうした自己負担増と保険外しによる給付抑制とともに、25年度までに、本来必要とされている病床数から33万床を削減する地域医療構想の実現のために、病床削減や公立病院・医療機関の再編・統合の推進を提起しています。

 また、地域医療機関に対する都道府県知事の「権限の在り方」について検討を進めるとしました。医療機関の運営に、自治体が介入しやすくする仕組みを強化するのが狙いです。

 深刻な医師不足にもかかわらず、医学部定員については20、21年度は維持するとしたものの、22年度以降は削減の方向を示しました。

 低所得者や高齢者が多く加入する国民健康保険では、「国保財政の健全化」のためとして、市町村の「法定外繰り入れ」を解消させる施策の強化を打ち出しています。国保の法定外繰り入れは保険料の負担緩和などを目的として、市町村が一般会計から財源を繰り入れるもの。繰り入れができなくなればいまでも高すぎる国保料(税)はさらに引き上がります。

 「骨太」で「基盤強化」として示されたものは、国民の願う社会保障充実の基盤強化ではなく、国民負担増・給付抑制の「基盤強化」でしかありません。消費税10%への大増税とともに、「骨太」の具体化をストップする世論と運動が求められています。(北野ひろみ)


社会保障財源 共産党の提案

 日本共産党は、社会保障の財源は、税のあり方、予算のあり方を変えれば、消費税に頼らず確保できるとしています。

 具体的には、大株主などの富裕層に欧米並みの負担を求めることや、大企業への優遇税制の見直しなど、税制改革や歳出の浪費をなくす改革を進めます。

 あわせて、人間らしく働ける雇用のルールをつくり、大企業の内部留保を活用して賃上げをすすめるなど、国民の所得を増やす経済改革で、税収を増やします。


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