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2018年6月13日(水)

セクハラ法整備見送り

政府「緊急対策」内容は限定的

 福田淳一前財務事務次官によるセクハラ問題を受け、政府は12日、「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)で「緊急対策」をまとめました。前次官のセクハラ問題を機に結成された「メディアで働く女性ネットワーク」や、女性団体が強く求めていたセクハラの禁止規定など法整備の着手にはまったく触れず、中央省庁幹部への研修強化など対策はきわめて限定的な内容にとどまりました。

 問題発覚後、対策を主導した野田聖子女性活躍担当相は、罰則を含む新たな法整備に言及していましたが盛り込みませんでした。内閣府男女共同参画局によると、野田氏は記者会見で、法整備は排除しないとしつつも、「規制が行われると女性記者が排除されるとかマイナスの作用が生じる恐れもある」などとのべ、背を向けました。

 緊急対策では、現在は新任者と係長など新任監督者を対象に実施されているセクハラ研修を、課長級以上に拡大。部長級以上に昇格予定の幹部候補者については、内閣人事局が研修を受けたかどうか確認するとしています。

 各省庁におかれた外部からの通報窓口の存在を周知し、相談員の研修を強化。第三者機関的な窓口の検討を人事院に要請します。

解説

再発防止に程遠く

 福田淳一前財務事務次官の辞任を認め、「はめられた」発言など被害者の尊厳を踏みにじる対応や暴言を繰り返した麻生財務相を罷免しないなど安倍首相は政治責任をまったく果たしていません。安倍内閣の人権軽視の政治姿勢をあらわにしており、今回政府がまとめたセクハラ問題の「緊急対策」では安倍首相のいう「再発防止」などはできません。

 安倍首相は野田聖子女性活躍担当相に福田前財務事務次官のセクハラ問題は「看過できない」とし、対応策を指示。野田担当相は「必要があれば検討していけばよい」などたびたび法整備に言及してきました。

 ところが「対策」では法整備の検討にさえ踏み込みませんでした。人事院規則で定められながらこれまで実施状況すら把握されていなかった、中央省庁の職員研修の強化などにとどまりました。

 セクシュアルハラスメント対策は1997年の男女雇用機会均等法の改正で事業主の配慮義務規定が盛り込まれ、2006年の改正で事業主の措置義務に強化されました。しかし、禁止規定がないことが実効性のうえでの課題と専門家からも指摘されてきました。

 麻生財務相の政治責任を問わず、法整備にいっさい踏み込まない緊急対策は、セクハラの再発防止にほど遠く、表面的な対応でお茶を濁すものとの批判をまぬかれません。

(内藤真己子)


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