しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年5月31日(木)


財務相の地元 福岡・飯塚

麻生グループに市有地無償貸与

保守系市議“政治判断で決まった案件”

 麻生太郎副総理・財務相の地元、福岡県飯塚市(人口約12万9千人)で、麻生氏の弟や妻など親族が取締役に名を連ねる株式会社「麻生」を中心とする麻生グループの企業に当初契約に反して市有地が無償で貸与され続けていることが分かりました。森友疑惑と同様の公有地をめぐる特別扱いに批判の声が上がっています。(丹田智之)


写真

(写真)麻生グループに無償貸与されている市有地にある子ども発達支援センター「ミィーティアス」=16日、福岡県飯塚市

 問題となっているのは「麻生」の100%子会社「療育振興プロジェクト」(資本金6500万円)が管理する約834平方メートルの市有地(時価1千万円相当)。同地で子ども発達支援センターを運営するNPO法人に月額20万円で貸し出されています。

 同じ敷地にたつ頴田(かいた)病院が2008年4月、市から麻生グループの医療法人博愛会に移譲された際、市との協定で発達障害児の支援センターを併設することになった経緯があります。病院の敷地を含めた市有地を市から7年間無償で借り、今年3月末までに時価で買い取る契約内容でした。

期間延長を要求

 ところが買い取り期限が迫ると、「麻生」側は契約に反し、病院の敷地を含めて無償貸与の期間を延長するよう要求しはじめました。(病院部分は後に断念)

 市と「麻生」側の協議は15年12月から17年11月まで10回にわたって続きました。

図

 日本共産党の川上直喜市議が情報公開で入手した協議の議事録によると、市側が強く抵抗した様子がうかがえます。

 「協定書に明記されている内容を変更することは容易ではなく、また、変更するとしても“それ相応の理由”が必要であり、今回の要望の内容はその理由にも当たらない」(16年7月15日)

 「麻生」側は「土地の購入代金、固定資産税と費用が増加していくと経営が成り立たなくなる。だからといってNPOに対し家賃値上げの話をすると、施設運営から手を引くかもしれない。そうなると市の望むところではないのではないか」と迫っています。

 川上市議は「療育サービス事業の維持と土地の契約は別々の問題であり、この発言が事実なら脅しだ」と批判します。

写真

(写真)川上直喜・共産党市議

「押し切られた」

 「麻生」側は17年9月14日、片峯誠市長あての「お願い」文書を提出し、無償貸与の5年延長を重ねて要求。その後の経過は明らかになっていませんが、同年11月8日の協議では市側が「麻生」側の要求を受け入れる姿勢に転じています。

 市側は正当な理由を示せないまま、昨年12月の市議会に無償貸与を5年間延長する議案を提出。福祉文教委員会で否決されましたが、本会議で可決しました。市の担当課長は「特例的に延長を認めた。期限が差し迫る中での苦渋の判断だった」と振り返ります。

 市側が支援センターの閉鎖をおそれ、「麻生」側の要求に押し切られた形です。

 保守系市議の一人は「率直に言うと、無償で貸し付けることには抵抗がある。相手が麻生(グループ)じゃなかったら『ダメだ』となっていたと思う。忖度(そんたく)と言いますか…。議会の多数勢力を含め、大きな政治判断で決まった案件だ」と明かしました。

 川上市議は「親会社『麻生』からの増資や融資を活用すれば支払えない額ではないはずだ。麻生グループとして社会的責任を果たすべきだ」と強調します。


pageup