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2018年5月31日(木)

「森友・加計」国会報道

NHK、際立つ少なさ

 学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げ問題、同「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題の二つの安倍首相による「国政私物化」疑惑は、昭恵夫人の関与を示した財務省の改ざん前文書や、愛媛県の新文書提出などで、全体の構図がほぼ明らかになってきました。ところが、NHKのこの間の両疑惑をめぐるニュース報道には、大きな疑問が浮かび上がっています。

 衆参両院の予算委員会で28日におこなわれた集中審議。テレビ朝日系の「報道ステーション」など民放は、日本共産党の小池晃書記局長、宮本岳志衆院議員が、独自に入手した政府の内部文書を示して、昨年9月、財務省理財局と国土交通省航空局の両局長が“口裏合わせ”していたことなどを詳しく報じました。

 しかし、NHKの「ニュース7」「ニュースウオッチ9」は、高齢ドライバーによる交通事故や、日大アメフット事件などを報道。集中審議の模様は5番手でした。

 29日の「ニュース7」にいたっては、国会の「森友・加計」疑惑追及そのものを報道しませんでした。

 同日開かれた衆院財務金融委員会で、日本共産党の宮本徹議員は、「森友」決裁文書の改ざんを認めた後も財務省が改ざんをしていたことを暴露したり、立憲民主党の川内博史議員の追及に、麻生太郎財務相が「改ざんは悪質でない」と暴言を吐いたりしたにもかかわらずです。

 NHKが政権側に忖度(そんたく)しているのか―。

 日本共産党の山下芳生参院議員のもとに、NHKの関係者が書いたとみられる文書が3月26日に届いたことがあります。それによると、実名で記されたNHK幹部が「ニュース7」「ニュースウオッチ9」などのニュース番組の編集責任者に対し、「森友問題」の報じ方について、「トップニュースで伝えるな」「トップでもしかたないが、放送尺は3分半以内に」「昭恵さんの映像は使うな」などと細かく指示していたとしています。

 本紙は、これらの「指示」が本当に番組に反映されたかを、「報道ステーション」、TBS系「NEWS23」と比較検討しました。期間は、「朝日」が森友文書改ざんをスクープした3月2日から、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問がおこなわれた同月27日まで。この結果、NHKの「森友」報道の少なさが際立ち、“昭恵夫人隠し”も徹底されていることが浮き彫りになりました。(4月30日付で詳報)

 安倍政権は、放送の「政治的公平性」などを定めた放送法4条などの撤廃をたくらんでいますが、共同通信がスクープした「通信・放送の改革ロードマップ」には、撤廃を実現した場合としてこんな記述がありました。「放送(NHK除く)は基本的に不要に」

 政権に批判的な民放はいらず、NHKさえあればいいということか。「公共放送」としてのNHKのあり方が問われています。(藤沢忠明)


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