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2018年5月25日(金)

「森友」交渉記録 国会中に廃棄

“首相進退答弁”に合わせて

 財務省が、学校法人「森友学園」との国有地取引に関する学園側などとの交渉記録を、決裁文書の改ざんと同時期に廃棄していたことを認めました。悪質極まりません。その理由に同省は、「交渉記録はない」と繰り返した佐川宣寿前理財局長の国会答弁との関係を持ち出していますが、記録の廃棄や安倍晋三首相の妻・昭恵氏の関与などを否定し続けた佐川氏の数々の答弁は、安倍首相の昨年2月の“進退答弁”を受けて以降のもの。記録廃棄と文書改ざんは、いっそう安倍首相夫妻の関与を裏付けることになっています。

 「私や妻は、この認可あるいは国有地払い下げに事務所を含めて一切かかわっていない。もしかかわっていたのであれば、もう間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」。森友疑惑が国会で追及され始めた昨年2月17日、衆院予算委員会で安倍首相が述べた“進退答弁”です。仮定形であれ昭恵氏が「かかわっていた」ことを進退の条件にあげたことで首相夫妻の関与が焦点となり、安倍首相自ら菅義偉官房長官に「私の妻の話も出たから」と指示し、佐川氏らを含めた対応の秘密会合が直後の2月20日に官邸で開かれたほどです。

随所に昭恵氏関与

 この首相の“進退答弁”以降、佐川氏は「近畿財務局と森友学園の交渉記録というものはない。速やかに事案終了後で廃棄している」(昨年2月24日の衆院財務金融委員会)、「面会記録は決裁文書等にすべて集約されているので処分されている」(昨年4月28日・同)などと答弁。首相答弁にあわせる形で、昭恵氏が「かかわっていた」事実を交渉記録からも決裁文書からも消し去ろうとしたのです。

 すでに明らかになっている改ざん前の決裁文書では、当時学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=が昭恵氏から「いい土地ですから、前に進めてください」と言われたことを近畿財務局に話し、国有地の貸し付け特例が実現するなど、生々しい関与が記されていました。

 廃棄したという交渉記録でも約10回、昭恵氏にかかわる記述がありました。2015年11月10日付「応答メモ」には、昭恵氏付の政府職員・谷査恵子氏からの問い合わせとして、「安倍総理夫人の知り合いから…優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせていただいた」との経過も。小学校建設の遅れで対応を近畿財務局に迫っていた16年3月30日には籠池被告が「6月の棟上げ式には首相夫人を招待するスケジュールを組んでいる。やらざるをえない。これができなければ、私は切腹する覚悟」と発言するなど、昭恵氏の関与が随所に出てくるのです。

 安倍首相が言及した「かかわっていた」ことを裏付ける交渉記録、改ざん前文書をなきものにし、いかに追及を逃れるか―そんな意図が浮かび上がってきます。

徹底究明こそ必要

 23日の野党合同ヒアリングの場で富山一成・理財局次長は「国会答弁での説明が事実と異なっていた。深くおわび申し上げたい」「(廃棄を)指示したのは理財局の一部職員だと考えている」と説明。しかしだれが、どのように廃棄をしたのかの詳細を追及されると「大阪地検の捜査の結論をみてから」といって、いまだに廃棄の真相を明らかにしていません。

 先にふれたように、森友疑惑発覚直後、安倍首相の指示を受け菅官房長官を中心に会合などがもたれました。文書改ざん、交渉記録廃棄をめぐって安倍首相、官邸の指示はなかったのか。真相を徹底究明する必要があります。


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