しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月22日(火)

きょうの潮流

 労働者は使い捨て。昇進も昇給も望めない。3年たてば雇い止め。職場を転じても派遣であることに変わりはない。人生をそのくり返しで終えるしかない▼いまや全労働者の4割を占める非正規。圧倒的な貧富の格差、過酷な労働を強いられる日々の絶望感と将来への不安をかかえるなか、待遇改善を訴えた「テロ」が起きる―。地方各紙に連載された楡周平さんの小説『バルス』です▼「現代の奴隷制度」を描いたという小説は非正規労働の実態をリアルにあぶり出しました。ブラック企業の過労自殺をテーマにしたのは村山由佳さんの近著『風は西から』。実際の痛ましい事件を取り入れながら、「初の社会派小説」に挑みました▼同じ社会で今を生きる作家が働き方を題材にする。村山さんが本紙日曜版で語っています。後を絶たない過労死や過労自殺のニュースに接し、「これは私が書くべきテーマだと思うようになった」と▼国会では今週中にも安倍内閣が「働き方」改悪法案の衆院通過をねらっています。長時間労働に歯止めのない、過労死を野放しにするような制度。働く人の切なる願いに逆行する法案を、基データのねつ造や過労自殺隠しといった提出の資格さえないままで強行しようとは▼働くために生きるのではなく、豊かな人生を送るために働く。働き方は生き方にかかわります。団結して立ち上がる労働者。ブラック企業の横暴とたたかう人びと。希望の光をともした小説の世界は現実を変えていく力をも指し示しています。


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