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2018年5月21日(月)

台湾 低迷する経済

蔡政権2年 若者失望

同性婚実現進まず■中台関係も悪化

 台湾で民進党の蔡英文(さい・えいぶん)政権が成立して20日で2年になります。台湾総統の任期4年間の半分が過ぎたことになりますが、経済の低迷などで支持率は低いまま。中台関係も悪化を続けています。(小林拓也)


 台湾紙・聯合報が14日に発表した世論調査結果によると、蔡政権に「満足」と答えたのは29%。「不満」は56%でした。他の世論調査でも6割前後が「不満」と答えています。

20代不満7割超

 とくに蔡政権に大きな期待を寄せ、2年前の政権交代の原動力となった若い世代の不満が噴出しています。台湾のテレビ局TVBSの世論調査によると、20代の若者の政権への不満は70・8%に達しました。

 蔡政権成立時に期待を集めた政策は、若者の就職改善、低い給与の引き上げなどでした。しかしTVBSの報道によると、「若者の就職、不動産購入はいまだ難しい」「就業のチャンスは増えていないし、給与も増えていない」などと不満の声が上がっています。

 台北市在住の38歳女性は「若者の支持を集めた同性婚実現も進んでいない」と言います。2年前の選挙で蔡氏は同性婚への支持を表明。運動が広がる中、台湾で憲法解釈を行う司法院大法官会議は昨年5月、同性婚を認めていない民法を「違憲」と判断し、2年以内の同性婚実現の法整備を求めました。ただ、期限まであと1年ですが、台湾立法院での議論は進んでおらず、若者の失望を招いています。

大陸側から圧力

 「一つの中国」を認めない蔡政権に対し、中国大陸側はさまざまな圧力を強めています。中国軍は台湾周辺の海域で軍事演習を繰り返し実施。爆撃機などを台湾周辺に飛行させています。

 中国国防省の呉謙報道官は4月26日の記者会見で「一連の行動は『台湾独立』勢力とその活動への対応だ。独立勢力がやりたい放題を続けるなら、われわれはさらなる行動をとる」と警告しました。

 また、台湾と外交関係がある国が次々と中国と国交を樹立。蔡政権発足後、西アフリカの島国サントメ・プリンシペ、中米のパナマ、ドミニカ共和国の3カ国が断交し、台湾と外交関係がある国は19カ国に減りました。

 一方、米国で3月、台湾との高官往来を法的に裏付ける台湾旅行法が成立。中国が反発し、台湾問題は米中間の緊張を高める火種の一つになっています。

 11月には首長や地方議員を選ぶ統一地方選が予定されています。与党・民進党の苦戦が予想され、結果によっては2年後の総裁選の行方を左右します。

 青年団体「台左維新」代表の呉濬彦(ご・しゅんげん)さん(29)は「蔡政権への不満は高いが、野党・国民党に支持が集まっているわけでもない。中国に反発する台湾の人も多い。地方選の結果はわからない」と語ります。


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