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2018年5月13日(日)

「加計」疑惑 柳瀬氏答弁

首相かばうウソ? 喚問は不可欠

 1面所報のように、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の国会答弁が、“加計ありき”の疑惑をさらに深めています。ウソの証言をすれば罪に問われる証人喚問は待ったなしです。

指示・報告ない、メモとらない

みんなあり得ない

図

 “指示を受けたことはない”“報告したこともない”“面会のメモもとっていない”。柳瀬氏は、安倍首相にかかわる事実を問われると、ないない尽くしの答弁を繰り返しました。

 加計学園の加計孝太郎理事長と安倍首相が「友人関係だろうということは認識していた」と認めながら、安倍首相の関与だけはキッパリ否定する不自然な答弁の数々…。これには、秘書官・閣僚経験者からも疑問の声が上がっています。

 自民党の石破茂元幹事長は「総理に秘書官が報告しないことは普通考えられない。秘書官は個人ではなく、(総理の)分身として会っていて、誰に会ったか報告するのが普通だ」(10日、記者団に)と指摘。橋本龍太郎首相の秘書官を務めた経験のある無所属の会の江田憲司衆院議員も「総理秘書官は総理大臣と一心同体だ。許認可や補助金の対象事業者と会うと、それは総理に累が及び、疑念を招く」「その常識を覆してまで(加計学園関係者と)会ったということは、やはり総理大臣か政務秘書官、首席秘書官からの指示があったとしか考えられない」(10日の衆院予算委員会)と指摘しています。

 さらに、面会には首相秘書官付のスタッフを同席させていたことを認めながら、柳瀬氏は「私のスタッフも通常、同席してメモを取ることはない」と答弁。とても信じられる説明ではありません。

無理な答弁重ねる

 では、なぜ、柳瀬氏は無理な答弁を重ねるのか―。文部科学省の前川喜平前事務次官は11日、弁護士を通じて出したコメントで「柳瀬氏の答弁で最も不自然な部分は、同氏が加計学園と3回面会し、国家戦略特区で提案するとの報告を受けておきながら、『総理に対して報告したことも指示をしたことも一切ありません』と主張した点だ」と強調。「これは、秘書官の職務遂行上ありえないことであり、安倍首相をかばうための虚偽答弁だと考えざるをえない」と指摘しています。

 実際、安倍首相は昨年7月の衆院予算委員会で、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは学園が事業者に決定した2017年1月20日だったと答弁しています。一方、柳瀬氏は15年の面会時点で、加計学園が獣医学部新設を目指していることを認識。柳瀬氏は「今治市と加計学園が連携しながらやっていた」とも述べており、安倍首相に面会の事実を報告していれば、安倍首相の方の国会答弁が根底から崩れることになります。

 柳瀬氏の参考人質疑では、国民の疑念が晴れるどころか、ますます深まっています。真相解明のためには、安倍首相自身が国会で国民の納得する説明を行う責任があります。そして、何より当事者である加計理事長をはじめ、関係者の証人喚問が不可欠です。

面会3回、詳細な助言

「加計ありき」鮮明

 官邸側の筋書きには沿うものの、愛媛県の主張とは真っ向から対立する説明をしてみせた柳瀬氏。どんなに言い繕っても、加計学園を特別扱いした事実は消せません。

 柳瀬氏は加計学園関係者と「2015年2月か3月」「4月2日」「6月4日前後」の3回、首相官邸で会いました。首相秘書官が、将来的に許認可や補助金の対象となる事業者と事前に会うこと自体が異例です。その上、獣医学部新設のために関係省庁や獣医師会への対策を助言し、国家戦略特区を活用するよう提案しました。

 面談した理由について柳瀬氏は「外の方からアポイントがあれば時間が許す限り会うようにしていた。総理の親友だからということはない」と、あたかも誰とでも会っているかのように主張しました。国家戦略特区には300近い認定事業者がいますが、柳瀬氏は「特区の関係で会った民間の方(事業者)は加計学園だけ」と、ここでも異例の扱いです。

 経過を見ても同様です。柳瀬氏は2月から3月に加計学園関係者と会ったとき、獣医学部新設のため今治市と一緒に構造改革特区を申請していることを確認しました。

 4月2日の面談では加計学園に対し、構造改革特区でもよいが国家戦略特区の方が安倍政権として力を入れていると詳しく説明。同席していた愛媛県職員は「首相案件」だから確実に成功すると理解しました。

 6月4日前後の面談では、加計学園から「(今治市が)国家戦略特区の提案を出すことになった」と報告を受けました。

 3回とも加計学園関係者を主とした面談で、愛媛県や今治市はついてきた格好です。加戸守行前愛媛県知事は「4月2日の会合で国家戦略特区のアドバイスをいただいたことが、今治獣医学部の認可につながった点では感謝したい」(10日、参院予算委員会)と答弁しました。

 一方、同じく獣医学部新設を目指していた京都産業大学に対して安倍政権は、18年4月開学などの条件を17年1月の公募で発表。京産大は教員確保が間に合わないと国家戦略特区への申請を断念しました。

 安倍首相の親友である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園には手とり足とり教え、そうでない大学は容赦なくふるい落とす。一連の経過が「加計ありき」の証拠です。


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